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高校中退した17歳がプロ野球で圧倒「球が速すぎた」あのピッチャーが2位…松坂大輔でも島袋洋奨でもない「センバツ史上最強投手」は誰? 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/04/01 11:00

高校中退した17歳がプロ野球で圧倒「球が速すぎた」あのピッチャーが2位…松坂大輔でも島袋洋奨でもない「センバツ史上最強投手」は誰?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

センバツ甲子園「史上最強投手」は誰か?(写真は今春センバツの優勝投手、健大高崎の佐藤龍月)

2位は「高校を中退した」伝説的投手

2位 尾崎行雄(浪商/大阪) 44ポイント
各項目の結果:奪三振率14.00(2位)、被安打率4.82(4位)、防御率0.64(4位)、WHIP0.61(2位)

 プロ野球史上もっとも速い球を投げたのは誰か、というテーマで必ず名前の挙がる“怪童”尾崎が2位に入った。1960年夏の甲子園に1年生エースとして初出場。2年時の61年は春夏と3季連続で甲子園出場を果たした。奪三振率は、圧巻の14.00で2位。与四球は3試合28回でわずかに2。この四球の少なさにより、WHIPも2位。制球力は優れていたが、何よりど真ん中に投げても打たれない豪球が武器だった。三振を多く奪い、ランナーを出さないという抜群の打者圧倒度を誇った。

 2年の秋に突然高校を中退して東映に入団。17歳でプロデビューした尾崎と対戦した山内一弘(大毎)は、初対戦で空振り三振を喫し、試合後に「球が速すぎて途中から消える」と語ったとされる。プロの最強打者を驚かせた尾崎が、もし3年時甲子園で投げていたらどんな記録を残しただろうか。プロでは実働12年で107勝。6年目の1967年に右肩を故障して以来、快速球は蘇らなかった。

語り継がれる「昭和の怪物」が1位

1位 江川卓(作新学院/栃木) 48ポイント
各項目の結果:奪三振率16.36(1位)、被安打率2.18(1位)、防御率0.27(3位)、WHIP0.67(3位)

 本ランキングで「センバツ史上最強投手」に輝いたのは江川卓だ。奪三振率16.36、被安打率2.18はダントツ。2位に大差をつける異次元の数字である。

 「昭和の怪物」の甲子園初登場となった73年のセンバツ初戦。大阪・北陽戦で、5番打者がこの試合の23球目を初めてバットに当ててバックネットにファウルした時、それまで静まり返っていた超満員のスタンドが大きくどよめき拍手が起きたのは有名なエピソードだ。この試合の4回2死まで四球1個をはさんで11個のアウトはすべて三振。終わってみれば19奪三振で完封を飾った。以来、江川の登板日は、国民がこぞってテレビ視聴するため、電力会社が電力不足になるのを心配したというエピソードが残るほど。全国的な注目を集めた点でも、最強投手に相応しいといえるだろう。一大会60奪三振は、今も残るセンバツ大会記録である。

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