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〈知の甲子園〉高校生の野球研究がスゴい「野村IDをMLB解析で再構築」「野球部マネ仕事の現状」…桑田真澄や吉井理人の姿も

posted2024/03/18 11:02

 
〈知の甲子園〉高校生の野球研究がスゴい「野村IDをMLB解析で再構築」「野球部マネ仕事の現状」…桑田真澄や吉井理人の姿も<Number Web> photograph by Kou Hiroo

日本野球学会での表彰式の様子

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Kou Hiroo

 いよいよ開幕した春のセンバツ。甲子園が高校球児のプレーに沸く一方で、2024年の今は「野球を研究する」という観点を持つ高校生も多い。〈知の甲子園〉とも言える「日本野球学会」の研究大会での高校生の奮闘を現地取材した。

 日本野球科学研究会は、昨年から「日本野球学会」と改称した。野球について様々な研究をする大学、民間研究機関の研究者、プロ野球関係者、大学、高校、中学などの指導者、スポーツメーカーの開発担当者などが集まって、様々な課題を話し合ったり、研究発表をする。

桑田、吉井、仁志も訪れた「研究大会」で

 昨年12月2日、3日、びわこ成蹊スポーツ大学で行われた研究大会には、巨人二軍監督の桑田真澄氏、前DeNA二軍監督の仁志敏久氏、千葉ロッテマリーンズ監督の吉井理人氏など著名な野球人も姿を見せた。

 シンポジウムや講演会と共に、この学会の「名物」となっているのが「ポスター発表」だ。研究者や研究機関が1つのテーマについての研究発表を、模造紙1枚のサイズにまとめて会場に掲示し、来場者に提示すると言うものだ。今回は実に88点もの発表が行われた。

 当初は大学や研究機関、スポーツメーカーなどの発表が多かったが、近年の活躍が目立つのは高校生だ。高校野球部に所属する選手やマネージャーが野球の戦術・戦略的なテーマや、身近な課題について研究し、発表しているのだ。

変化球の球速の被打率、野村IDを研究!

 2018年に、鳥取県立米子東高校がポスター展に出展したのを皮切りに年々参加校が増えた。今年は、9校18本もの発表があった。以下、概要を紹介していこう。

〈倉敷翠松高校〉

 ・「変化球の球速と被打率の関係について」

 変化球の方がストレートよりも被打率が低いと感じられるが、ここでは球速に焦点を当ててデータを録って分析した。

〈広島県立祇園北高校〉

 ・「野村式ID野球を現代MLBデータ解析で再構築する」

「困ったときの外角低め」「つなぐ野球」「プラトーンシステム」という言葉について、MLBのデータサイト「STATCAST」の15年分のデータ解析を行うことで再定義した。

〈広島県立祇園北高校、武田高校、加治佐平(東洋大学)〉

 ・「メンタルを科学する:試合に臨むための本当の準備」

 東京大野球部出身で東洋大准教授の加治佐平氏の指導の下、祇園北高と武田高で、血糖値から「緊張と興奮」の指標であるアドレナリンのモニタリングを実施した。

【次ページ】 高校野球のデータ収集から「サウナ」検証

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