「めちゃくちゃ跳べている、ブロックの上から打てている、と毎日実感できたんです。トレーナーさんからも『紗理那さん、脚、全然張っていませんよ』と言われたし、自分でも同じように感じて、“私昨日、50本打ったよね？”と驚くぐらい、身体の状態は完璧でした」

　まずは高く跳ぶことはクリアできた。とはいえ、打点の高さを得るにはトスにも高さを求めなければならない。当然、セッターの存在は不可欠だ。日々繰り返すコンビ練習から、古賀は自らセッターの塚田しおりに働きかけた。

©︎Kiichi Matsumoto

「そんなトスじゃ打てません」

　これまでは多少トスが低くても、何とかしようとしてきた。だがそれでは、せっかく増した高さは活かされない。たとえ一本でも妥協したくない。トスが低くて打てない時は、遠慮せず塚田にぶつけた。

「『そんなトスじゃ打てません』って直接伝えました。自分でもきつい言い方だと思いますよ。でも、しおりさんは私のハッキリ言葉にする性格を理解してくれて、やり取りを繰り返すうちに、しおりさんから『ごめん、今のは低かった』と言ってくれるようになったんです。むしろ私からすればOK、と思うトスでも『もっと紗理那の高さを活かせるから、もう少し高くするね』と。パッと見たら、去年と同じようなコンビ、バックアタックに見えるかもしれないけれど、そのちょっとの高さがものすごく私を活かしてくれました」

©︎NEC RED ROCKETS

　これまでは速さを求めるあまり、低くなったトスを無理やり打とうとしたり、プッシュで押し込まざるを得ない状況が多かった。だが、シンプルに高さを追求したことで、余裕を持って打てている分、コースの幅も広がり、できることも増えた。

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