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「西田有志の妻、と言われるのは嫌です(笑)」古賀紗理那が語る“文句ナシのMVP”に選ばれるまでの猛練習「紗理那は才能だけじゃない」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/03/11 17:00
NECレッドロケッツのリーグ連覇に貢献した古賀紗理那(27歳)。2年連続で自身3度目となるMVPに選ばれた
「東京で試合がある日は(西田が)こっちに来て、月曜の午前中、私がトレーニングに行っている間に近くの温泉で炭酸泉に入ってリカバリーする。その後、私が一緒に(枚方へ)行く時は、火曜に(西田が)練習の間に近くの温泉に行く。それから2人でごはんを食べて、たまに出かけてリフレッシュして、そのままお風呂に入ってから新幹線に乗って、自宅についたら歯を磨いて寝る。お互い21時に寝て6時に起きる、と健康的な生活をしていたし、サプリメントとかストレッチとか『これがいいよ』と勧めてもらったり、その都度チームの課題や抱える問題も聞いてもらえるから、それだけでスッキリしていました(笑)」
NEC連覇のウラに“西田先生”あり?
連覇を遂げた今季の優勝も、実は西田が一役買っていた。NECのオポジット、ダニエル・ドルーズは西田と同じ左利き。試合の映像を2人で見返した時に、ふと西田が言った。
「ファーサイドからのトスを打つ時はトスが短くなることもあるから、最初から想定して、もっと助走の幅を深く取って入るようにしたら、偏ったコースだけじゃなく、広く打てるようになるんじゃない?」
納得した古賀はすぐにドルーズに伝えた。その成果が見事に発揮されたのが決勝だった。だからこそ、ドールズは敬意を込めては西田を「先生」と呼ぶ。
「ダニだけじゃなく、私も参考にできる、やってみよう、と思えることばかり。お互い選手で、離れて過ごす生活は大変そう、と見られるかもしれないけれど、今の私にとっては、この状態がすごく楽しいです」
まさに充実の時。さらなる目標が、これから待っている。
「パリオリンピックに出ることが一番ですけど、とにかく結果を出したい。そのために、個々が自分の役割を果たしてチームになれるように。私も私のことを頑張るし、チームとしても熱量を持って戦い抜きたいです」
己の信じた道を行く。古賀紗理那の強さは本物だ。