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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「プロ野球時代の年俸は超えた」桑田・清原の同期ドラ1が語る“勉強しない高校生”の行く末…会社員でも飲食店でもない“プロ0勝右腕”の再起
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byMasato Daito
posted2024/02/29 11:01
桑田・清原と同期ドラ1が語る引退後「プロ野球時代の年俸は超えた」
「プロに入った段階で『引退したあとのことを考えておく』というのは無理だと思う。保険をかけて勝負できるような世界じゃないから。俺が大事だと思うのは、プロ野球選手になる前。高校や大学でしっかりと勉強して、引退後に備えてほしい。プロで戦える時間は短いし、そこで考えている余裕なんてないから。
その点、最近は、野球強豪校の選手でも勉強するようになったみたいやね。若い頃に身につけた“学ぶ習慣”“学び方”みたいなものは、いつか絶対に生かされる。昔は『野球以外は何もできません』という感じの人ばかりだったから、引退したあとに苦労するのは当然だった」
4月に57歳になる桧山のセカンドキャリアはこれからも続く。
「司法書士は引退のない仕事だから、健康でいられさえすればずっと働くことができる。プロ野球選手みたいに収入が倍増することはないけど、コロナ禍でも減ることはなかったからね」
いまのプロ球界に思う“違和感”
桧山は現在、北九州市の中学野球チーム、八幡南ボーイズでコーチを務める。プロ野球のニュースも日々チェックしている。昭和のプロ野球、それも異端児揃いの近鉄でプレーした男は、ルーキーの育て方に隔世の感を覚える。
「少し過保護には見えるよね。投球数を制限することも大事かもしれんけど、故障や痛みがないんだったら、もっと投げさせてもいい。球数を投げないと、ピッチングのために必要な筋肉や指先の感覚は育たないからね」
2019年ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団した佐々木朗希についても思うことがある。メジャーリーグへのポスティング移籍を要求したことが報じられ、プロ野球選手会から脱退したことがニュースになった。
桧山が近鉄に在籍した時代、プロ野球選手に移籍の自由はなく、年俸交渉なども選手本人が行うしかなかった。今の選手は、一軍で活躍すればフリーエージェントの権利(FA権)が与えられ、球団との交渉はプロである代理人に委ねることができるようになった。
「FA権にしても代理人交渉にしても、プロ野球選手会の活動を通じて、先輩方が球団側と長い時間をかけて話し合って勝ち取った大事なもの。そのおかげで今のプロ野球選手は昔よりもストレスなく現役時代を過ごせているだろうし、年俸などの待遇も格段によくなった。
そういう歴史とか経緯、プロ野球選手会に関わった先輩方の思いを本当に理解しているんかなと思う。自分たちの権利を主張すること、行使することをダメだと言ってるわけやないんやけどね」