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核心にシュートを!BACK NUMBER
「いや、いいんです。いいんですけど」森保監督が記者に視線を送って続けた言葉は…“映像に残らない”アジア杯での生々しい出来事
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/14 17:00
バーレーン戦を前にした記者会見での森保一監督。グループステージ後にあった「茶話会」での出来事とは
「そういうのは大体、ここに来ていない人がやっているのでは?」
監督:「だから、近くにいる人が……ははは(笑)」
筆者:「どの話ですか? もし、おかしいと思ったものがあれば言っていただければ」
監督:「いや、毎回感じるので。この間もそうじゃないですかね。××(あるメディア)が、記者会見で僕が怒ったみたいに書いていますね」
冷えた笑いが愛想笑いに変わったのか、周囲の笑い声が大きくなった。
その過程で、一つ譲れないことがあった。
誰かから「秘密にしてほしい」などと断りをうけてから話を聞いたとき、その秘密を守り切ることが、取材対象者との心のつながりを生むと筆者は信じている。だから、それを監督にぶつけることはありえない。一方で、監督の揚げ足を取るような行為は筆者の生き方に反する。ただ、色々な人に共通の質問をぶつけることは、取材を通して一つの真実に近づこうとするためには、避けては通れない。だから、そのことだけは伝えておかなければならなかった。
筆者:「でも、選手からそのため(*監督を貶めようとして)に何か聞くことはないですけど」
監督:「いや、いいんですよ。いいんですけど……」
筆者:「そういうふうに感じるということでしょうか?」
監督は自身の左側に少しだけ身体をむけるしぐさをしてから、こう答えた。
「多分、大抵の人は感じていると思います」
その後、別の記者が、今大会の戦いぶりについて質問を投げかけ、この会は本来の主旨に沿って進んでいった。
再び、監督と目が合った
そこでは大会中には聞くことが出来ない質問が次々と出てきて、監督も一つひとつに丁寧に答えていった。ときにジョークをまじえ、ときに熱い気持ちを込めて話す様子からは、監督の仕事にかける想いも伝わってきた。有意義な機会となり、そこで監督が明かしたカタールW杯ドイツ戦での選手交代の背景については1月31日公開の記事に書いている。
約束の1時間が過ぎたころに会はお開きとなり、一部の記者が席を立ち始めた。
そこで監督と再び、目が合った。
<つづきは第2回>