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森保ジャパン10連勝も“策士トルシエ68歳”なお健在…「私が作り出したものを消費し尽くそうと」“日本代表でモメた日”と再評価したい手腕
posted2024/01/15 17:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Zhizhao Wu/Getty Images,Kazuaki Nishiyama
<名言1>
サッカーの目的は失点を阻止することではない。ゴールを相手より多く奪うことだ。
(フィリップ・トルシエ/Number509号 2000年11月2日発売)
◇解説◇
カタールで開幕したサッカーアジアカップ、森保一監督率いる日本代表は4−2でベトナム代表に逆転勝ちし、初戦で勝ち点3を確保。昨年6月から続く代表戦の連勝を「10」とした。
<森保ジャパン国際Aマッチ10連勝の相手とスコア>
23年6月15日 ○6−0エルサルバドル
23年6月20日 ○4−1ペルー
23年9月9日 ○4−1ドイツ
23年9月12日 ○4−2トルコ
23年10月13日 ○4−1カナダ
23年10月17日 ○2−0チュニジア
23年11月16日 ○5−0ミャンマー/W杯予選
23年11月21日 ○5−0シリア/W杯予選
24年1月1日 ○5−0タイ
24年1月14日 ○4−2ベトナム/アジア杯
ただ……スコアとしてはトルコ戦と同じだが、この10連勝の中でフィリップ・トルシエ率いるベトナム代表戦が最も難儀した戦いだったといって差し支えないのではないか。
策士トルシエ68歳、いまだ健在
11分の南野拓実の先制ゴールで日本優勢の流れになるかと思いきや、そこからベトナムが反撃。5分後にCKからニアサイドに入ったグエン・ディン・バックの見事なバックヘッドで同点。33分にはカウンターから得たFKで、今度はファーサイドにターゲットを置き、ヘディングシュートのこぼれ球をファム・トゥアン・ハイが詰めて2−1とした。
その後は日本が南野と中村敬斗のファインゴールで試合をひっくり返し、後半のベトナムのペースダウンもあって日本はペースを作り直すと、後半終盤の上田綺世の追加点で突き放した。ただ前半20~40分辺りはテクニカルかつ運動量豊富なベトナムの時間帯となっていたことは事実。さらにセットプレーからニア、ファーサイドと揺さぶって得点をもぎ取ったあたり、策士トルシエいまだ健在を象徴する一戦となったことは間違いない。
サッカー日本代表の監督を務めたトルシエはオランダの「トータルフットボール」に基づいたクライフ時代のバルセロナ」を愛し、攻撃的なサッカーを志向した。
「スペクタクルで、相手より得点を多く奪おうとする姿勢に共感を覚えるんだ」
アウェーの雰囲気が色濃い中東で開催された2000年のアジアカップでは攻撃的なスタイルで日本を優勝に導き、2000年度のAFC年間最優秀監督を受賞。トルシエが残した実績は今こそ再評価されるものだろう。
退任から1年と今、ジーコジャパンについて語った言葉
<名言2>
今の日本は、私が作り出したすべてのものを、消費し尽くそうとしている。
(フィリップ・トルシエ/Number580号 2003年7月10日発売)
◇解説◇
日韓W杯で日本代表をW杯史上初となる決勝トーナメント進出に導いたトルシエは、監督退任後も日本サッカーの“ご意見番”として忌憚のない意見を発信してきた。