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「マジで高校生のレベルじゃない」日本代表も絶賛…春高バレー連覇・駿台学園が強すぎる理由「僕たちは高校バレーの考え方を変えた」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2024/01/10 11:03
圧倒的な強さで春高バレー連覇を達成した駿台学園(東京)
実は格上のVリーグのチームと対戦した天皇杯も、どこまで自分たちの技が通用するのかをチャレンジする機会だった、とオポジットの三宅雄大(3年)が明かす。
「レフトでリバウンドを取ってもう一度レフト、ではなく、ブロッカーを散らすためにミドルやライトから攻撃しよう、と取り組んでいたんです。梅川先生からは『Vリーグに通用する攻撃なら、春高でも絶対決まる』と言われたので、うまくいかないことのほうが多かったですけど、自信になったところもありました」
その成果とばかりに、高校生なら誰もが憧れる夢の舞台でもいつも通り、やってきたことを実践した。春高決勝では福井工大福井のエース堤凰惺(3年)の強打を亀岡、谷本の堅守でつなぎ、攻撃陣がバランスよく決める。試合を決める最後の一打も、「Aクイックに上げろ」と言った梅川監督の指示でもなく、主将の亀岡でもなく、セッター三宅綜大(2年)が選択したのは兄の三宅雄大だった。「あそこで自分に来るとは思わなかった」と兄も驚くセレクトで連覇を達成。まさに強くて面白い“絶対王者”たる姿をこれ以上ないほどに見せつけた。
「日本の強化につながる、とは限らない」
全体のレベルも引き上げた選手たちがどんな未来をつくるのか。歴代春高優勝チームの“エース”と称される選手と同様、将来への期待が高まるのも必然だが、「駿台が勝ったことがイコール日本代表、日本の強化につながる、とは限らない」と言うのは、他ならぬ、梅川監督だ。
「現状を見れば、うちのアウトサイドに将来日本代表で活躍できるだろう、という選手は残念ながらいません。だから、ブロックアウトやリバウンドの技術、いつ、どのタイミングで選択するかという状況判断能力をつけないと、先にはつながらない。
もちろん選手は勝ちたいですから、勝つために最善の策を取るし、そのために僕らは手助けします。でもそこがすべてではなく、彼らには先がある。日本代表には入れないかもしれないけれど、ミスが少ない、獲るべき時に点を獲れる選手になれば、Vリーグで活躍できる可能性は増えるかもしれない。そのために必要な概念、技術を得るために普段からなぜこの練習をするのか、意図を理解させて、選手たちがサボらずに、実践しているだけなんです」
そうは言ってもバレーがうまく、能力が高い選手が揃っている。しかも恵まれた環境だから勝てるのだろう、と揶揄する声も少なくないが、春高バレーで見せた精度の高いプレーを見れば、どれだけ練習を重ねてきたかは明らかだ。