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将棋PRESSBACK NUMBER
マイケル・ジョーダンと藤井聡太の共通点は「負けず嫌いでありながら、負けることは失敗ではなく…」NBA大好き棋士・増田康宏がアツく語る
text by
北野新太Arata Kitano
photograph byKeiji Ishikawa/Koji Asakura
posted2024/01/09 17:29
NBAを愛する棋士・増田康宏七段。マイケル・ジョーダンらバスケと将棋の共通点についてアツく語ってくれた
「スパーズの時代は終わったように感じますね。原因としては、単純にポポヴィッチが74歳と高齢になったことがあるでしょう。棋士も同じですが、年齢を重ねれば思考力も判断力も感覚も衰えるのは当然です。5度の優勝に導き、ヘッドコーチとして史上最多の勝利数を記録している名将でも年齢からは逃れられません。ポポヴィッチの采配が全てではないかもしれませんが、チームの方針として、現代NBAのオフェンス主体、スリーポイント主体のトレンドにアジャストできなかった印象を受けますね。
J・J・レディック(マジックなど6チームを渡り歩き、20-21シーズンを最後に引退した名シューター)は『選手はみんなゲームのことを理解している。これで勝てるという気持ちになれなければ、どんなに良い戦術も何も意味がない』と話しています。今、結果が出ていないのは、スパーズの選手たちが采配にやや疑問を感じながらプレイしているためかもしれません。さらに言うと、選手からの信頼という面においてスパーズは組織として微妙な部分があるかもしれない、とも思ったり」
勝負すべき時と再建すべき時は別なのではないか
――え、どのような?
「スパーズのメディカルチームが問題を抱えてきたのは有名な話で、カワイ・レナード(14年のファイナルMVP、現クリッパーズのオールスターSF)が18年にトレードを志願したのは、リハビリを巡るメディカルチームとの確執が原因とされていますよね。だからウェンビーが怪我してしまった場合、どうなってしまうのかな、というようなことはつい考えてしまいます。
僕は今季、再建から上昇に転じたサンダーやマジックのようなチームに着目していますが、そのようなチームと比べて、スパーズは再建の方針も兆しも見えてきません。ずっと強豪だったチームがプレイオフを逃し続けている現状を見ても、今のNBAはずっと強く在り続けることは難しく、優勝に向けて勝負すべき時と再建すべき時は別なのではないかと思うんです。完全に証明しているのが今季のサンダーの躍進でしょう」
「これから常勝軍団になっていくかも」のサンダー
――サンダーは一昨季24勝、昨季40勝と低迷しましたが、今季は20勝9敗でウエスタン3位につけており、見違えたようなチームになっています。