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将棋PRESSBACK NUMBER
マイケル・ジョーダンと藤井聡太の共通点は「負けず嫌いでありながら、負けることは失敗ではなく…」NBA大好き棋士・増田康宏がアツく語る
posted2024/01/09 17:29
text by
北野新太Arata Kitano
photograph by
Keiji Ishikawa/Koji Asakura
2024年の到来とともに、NBAの2023-24シーズンは中盤戦に入る。チャンピオンリングを狙えそうな上位勢からプレイオフ進出の望みも薄そうなドアマットまで、30チームの勢力分布図は明確な色分けが始まっている。
一局の将棋に例えるなら、戦型が決まり、駒組みが終わり、仕掛けの成否によって形勢が出始めた頃。将棋界随一のNBAフリークである増田康宏七段はどのように戦況を見つめているのだろうか。前回、NBAについてインタビューをしたのは2年前だが、当時からは各チームの戦力やコート上のトレンドは変化している。超一流の証明となる順位戦A級への昇級を目前にした26歳は、自らの現状を重ねながら語った。
ウェンビーは非常に良い選手だと思っています
――まず、プレシーズンから話題を独占したドラフト1巡目1位ルーキーのヴィクター・ウェンバンヤマ(スパーズ、フランス出身)の活躍をどのように見ているのでしょう。18.8ポイント、10.4リバウンド(12月29日現在、以下同)のスタッツを物足りないとみるか、健闘とみるかは分かれそうですけど。
「ウェンビーは非常に良い選手だと思っています。ドラフト前から多くのNBAプレイヤーが絶賛していたように、あのサイズ(224センチ)でボールハンドリングが良く、ディープスリーを打てるようなオールラウンドなスキルを持っていますからね。ハードワーカーでもあります。デビュー前にオファーされた100億円超のCM契約の話を断ったメンタリティもいいなあと思いますね。
ただ、フランスでは週1、2回だったゲームはNBAでは週3、4回ですし、移動は多く長く、タフです。線が細いだけに怪我も心配になります。あのサイズで長年活躍した選手はほとんどいませんからね。現在の成績はルーキーの中ではかなり良いですが、評価は長期的に活躍したかどうかで見られるところがあるので、全82試合を終えて、というか1、2年では判断出来ない部分もありますし、そもそもウェンビーが良いか悪いか、ということ以前にスパーズというチームに対して懸念を持っているんです」
スパーズの時代は終わったように感じます
――スパーズは5勝25敗とウエスタン・カンファレンスの最下位に低迷しています。1996-97シーズンからヘッドコーチのグレッグ・ポポヴィッチが長期政権を執り、ほとんど毎年50勝以上挙げてきた強豪ですが、過去4季はプレイオフから遠ざかっている。