野球善哉BACK NUMBER
菊池雄星「身近に大谷翔平。佐々木朗希くん、麟太郎くんもこれから…」岩手に巨大施設、考案した菊池が語る「息子とキャッチボールする場所が…」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byGetty Images
posted2024/01/02 11:05
オフの忙しい予定の合間に、菊池雄星が新しいプロジェクトについて話してくれた
「神宮でキャッチボールをして、そこからパーソナルトレーナーのところに行くというのをやってきたんですけど、(それが)100%の環境かっていったら多分85%ぐらい。移動時間で疲れたり体が冷えたりとか、いろいろあるじゃないですか。100%が実現できる施設が必要だった」
「まるで研究施設」どんなプロジェクト?
施設は4つのコンセプト――Physical、Mind、Social、Culturalから構成される。
まずPhysicalは、一流の選手たちが「身体とスキルを鍛え上げる場」を指す。モデルは、シアトルにある「ドライブライン・ベースボール」。KOHでは専門家が的確なカリキュラムを組み、データサイエンスの活用はもちろん、バイオメカニクスやストレングスのコーチもいる。各種専門家の指導をプロからアマチュアまでが受けられる。
「前例がないことに挑戦していこうという思いがあります。これをやったらもしかしたらもっと伸びるかもしれないというものを探していきたい。球速を上げるとか、バッティングを向上させるヒントになるかもしれないと思っていて、各分野の研究者の方たちに参画していただいているんです。例えば、中学生からウェイトトレーニングをすることは基本的にはタブーとされていますけど、アメリカでは13、4歳でもウェイトをしているし、向こうのコーチに聞いても『中学生からウェイトをやって背が伸びなくなるなんて聞いたことはない』と言っていました。そういうことにも挑戦していきたい」
いわば、研究施設の要素も兼ね備えているわけだ。
2つ目のMindは、本人の言葉を借りれば「習慣化する場」にあたる。菊池がいつも口にしている、プロ野球選手に成長していく過程で大事にしてきたものだ。
「僕は成長には習慣形成が鍵だと思っていて、どんなに能力がある選手でも、良くない習慣をつけたら、徐々に良くない方向に行く。逆に僕みたいに能力がそこまでずば抜けているわけではない選手でもそこさえできれば成長できる。僕の場合は『やり続けるという習慣』と『大きい目標を持つ』という2つの要素があってメジャーリーグまで来ることができたと思っているので、能力がそこまで高くない選手でも良い習慣を身につけて、高い目標を持てば、一定のところまではいける。そういうところも伝えていきたい」