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スポーツ界が社会をリードする未来へ。「HEROs AWARD 2023」受賞者が、社会貢献をする理由。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTomosuke Imai
posted2023/12/28 07:00
「HEROs AWARD 2023」の受賞者。左から荒井daze善正氏、北海道日本ハムファイターズの稲葉篤紀氏、伊藤華英氏、和田毅氏、アディダス ジャパンの山本健氏
荒井さんが、「若い人はきっちり話せば理解してくれる」と話すと、一緒に登壇していた和田さんや伊藤さんが頷いている様子も印象的だった。
今秋、13回目の『東京雪祭』を開催した荒井さんが危惧しているのは、「骨髄バンクのドナー登録が54歳までとなっていることによって、登録者が減っている」ことだという。今後はもっと若い人々に登録してもらうための働きかけが重要だとし、「もしかしたら皆さんの周りでも治療が必要な人が現れるかもしれないということを知った上で、自分自身や家族を守るために活動してもらえたら、僕はすごく嬉しい」と願いを込めて言った。
アスリートの発信力は強い
プロ野球投手の和田さんは、今回の表彰の対象となったワクチン寄付の活動を20代前半という若さで始めたことがトークセッションで取り上げられた。和田さんによると、自身がプロ野球界に入った頃、赤星憲広さんや井口資仁さんが現役時代から社会貢献活動をしている姿を見たことで影響を受けた部分があったという。
和田さんは「アスリートの発信力は本当に大きい。小さなことから社会貢献の輪が広がるので、思い立ったらどんどんやっていけばいいと思います」と話していた。
そして、メジャーリーグで活躍していた時に感じた、チャリティー活動に対する日米の違いについても言及。「日本ではチャリティーというと固いイメージがありますが、アメリカでは小児がんの子どもたちとのパーティーで一緒に歌ったり、ダンスをしたりゲームをしたり、イベントそのものがとても楽しかった。あの雰囲気を日本でも参考にしたい」と語った。和田さんの次の夢は、和田さんを含めた多くのプロ野球選手がそれぞれ主宰している各地の大会を集めて全国大会を開催することだ。
今回の受賞者である伊藤さんが行なっているのは、女子アスリートが生理に関する知識を身につけるための啓発活動。進行役の中井アナが「よくぞ声を上げてくれたと思いました」とコメントしたように、これまでタブー視されてきた題材をみんなの共通課題としてとらえていこうという伊藤さんの姿勢は、出席者たちの中でも大きなインパクトがあったようだ。