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「打った瞬間に行ったなと…」筒香嘉智がDeNA復帰戦で“打つべくして打った”本塁打の真相「自分の中ではもう大丈夫だと思ったんです」
posted2024/05/08 11:06
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
立ち見席までマリンブルーに染まった横浜スタジアムが、その瞬間に揺れた。
5月6日。DeNA対ヤクルト戦の8回だ。佐野恵太外野手の適時打で1点を返し3対5としてなお、2死一、二塁。打席に向かう「背番号25」筒香嘉智外野手を、スタンドが5年前と同じ応援歌と「ツツゴーコール」の合唱後押しする。
マウンドのホセ・エスパーダ投手の初球だった。真ん中に入ってきたストレートに、筒香が迷いなくバットを振り抜いた。
「打った瞬間に行ったなという感触はあった」
2019年10月7日のクライマックスシリーズ、ファーストステージ以来の横浜スタジアムでのプレー。4年間、離れてはいたが、それでもずっと慣れ親しんだ自分の本拠地だ。その確信に間違いはない。あまりに劇的な復帰初戦での逆転3ランだった。右中間スタンドに打球が弾んだ瞬間、狂喜乱舞するベイスターズファンのパワーでスタンドは確かに揺れていた。
紆余曲折を経た5年ぶりの古巣復帰。
「この横浜スタジアムでベイスターズの一員としてプレーできることに非常に喜びを感じています。僕自身ができることといえば、毎日、ハードにプレーすることだけ。チームの勝ちに少しでも貢献できるように全力でプレーする」
試合前にこう語って臨んだ復帰初戦は、まさに筒香らしさ全開でファンを魅了した。
「非常にいい感覚で最後の打席に入れました」
第1打席はヤクルト先発のベテラン左腕・石川雅規投手の投じた4球に、1度もバットを振らず一塁に歩いた。審判にゾーンを確認しながら、決してムリにバットを振りにはいかない。これも5年前と変わらない筒香のスタイルだ。