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内定辞退しプロ挑戦も不合格…「そして私は就職浪人の大学5年生になった」元会社員の棋士・小山怜央が明かす挫折 

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小山怜央

小山怜央Reo Koyama

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/12/24 06:04

内定辞退しプロ挑戦も不合格…「そして私は就職浪人の大学5年生になった」元会社員の棋士・小山怜央が明かす挫折<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今年4月にプロ棋士となった小山怜央。本人が大学時代、人生2度目の奨励会入りの挑戦を振り返る

 とにかく平然と将棋に没頭しようと努めて、1日目は1勝1敗で終えた。1日の対局が2局なので、合格の6勝を得るには最低でも3度の例会に参加する必要がある。

 2日目。この日も1局目が二段の人、そして2局目が初段の人だった。なおこのときの初段の人は、今、各棋戦で活躍をされている伊藤匠七段だった。この伊藤さんには勝つことができたが、二段の方に負けてこの日も1勝1敗。初日の1敗は仕方ないと思ったが、この2日目の1敗は、正直辛かった。6勝するまでに2度しか負けられないので、もう後がない状況になった。

 そして3日目。1局目の二段の方に負けて私の2度目の奨励会挑戦は終わった。

再び権利を得ても、行使せず

 今、改めて思うと普段指している環境とずいぶんと違うので、奨励会を体験していない人にはかなり難しい試験だと思った。

 前にも述べたが、このルートからプロになった人はいないし、私以降、受験した人もいない。

 私はこの試験に落ちた2016年の12月にアマ王将で優勝し、ふたたびこの三段リーグ編入試験の資格を得たが、この権利は行使しなかった。きっとまた受けても受からなかったことだろうと思う。もしこの試験を受けたいという人から相談されたら、いろいろ感じたことはアドバイスするが、最後に、かなり難しいと申し伝えることになるだろう。

悔しかったが意外とさっぱりとした気持ち

 今でも、三段リーグ編入試験の3日目のことはよく覚えている。1局目に敗れて、お世話になりましたと告げてあの場所を辞したとき、悔しかったが意外とさっぱりとした気持ちがあって自分でも驚いた。

 やり切ったなという感じがあり、これで未練なく就職できるなという思いだった。2度目の挑戦は、2度目の失敗ではあったけれど、人生の失敗ではなかった。そう思えたのが収穫だった。

 私はこのとき大学5年生で夏の終わりを迎えていた。卒業は5年でできそうだったが、就職活動の時期は逸していたので、それは来年、就職浪人という形でやろうと考えていた。

<続く>

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#2に続く
「奨励会試験」を2度失敗、27歳のSEはそれでもプロ棋士を目指した…小山怜央が振り返る「サラリーマン時代」

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#小山怜央

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