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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「もう、どうしていいか分からない」DeNA・細川成也を救った“中日からの指名”「現役ドラフトがなかったら、人生を変えられていなかった」
posted2023/11/18 06:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Haruka Sato
制度がなかったら、今ごろクビになっていたかも
「第1回現役ドラフト」の“成功組”といえば、投手では阪神の大竹耕太郎、野手では細川がその象徴だろう。大竹は今季12勝を挙げて阪神の日本一に貢献。細川は140試合に出場してチーム最多の24本塁打を放った。昨年オフ、賛否両論を含みながら発進した「現役ドラフト」というシステムについて、当事者である細川は今、どんな思いがあるのだろうか。
「本当によかったな、という風に思っています。こういう制度がなかったら、僕は今ごろ戦力外のリストに挙がって、クビになっていたかもしれない。大竹さんも去年と同じような1年を過ごしていたかもしれません。現役ドラフトがなかったら、人生を変えられていなかっただろうな、というところはありますね」
シーズン終了後に「野球できなくなるかもしれない」
1年前――。高卒6年目のシーズンの夏場を過ぎたあたりから、細川は背中に寒いものを感じていたという。
「6年やって結果を残していなかったのでそろそろ見切りをつけられるんじゃないかな、と自分でも感じていました。シーズンが終わって空き日があると、もしかして(戦力外通告の)電話がかかって来るんじゃないかな、って。野球できなくなるかもしれないと、少し覚悟していたところはあったんです」
一軍での出場機会は18試合まで減っていた。プロ1年目から主軸を担っていた二軍戦でも出番を奪われるようになると、危機感はさらに高まった。
「選手は敏感ですから、そういうのは感じとっている。さすがにプロ6年もやっていたら戦力外になった先輩たちも見ていますしね。ファームでも出番が減ったり、後半戦に入って、今までずっと使ってもらっていたのに急に(試合に)出たり出なかったりという感じになると、もしかしたら……って。ファームの最終戦に出たりしたら、いよいよ危ないかもな、とか。残りの試合数が少なくなるにつれて今年は(戦力外が)あるかもしれないという思いが強くなっていましたね」