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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「もう、どうしていいか分からない」DeNA・細川成也を救った“中日からの指名”「現役ドラフトがなかったら、人生を変えられていなかった」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2023/11/18 06:02
今季140試合に出場し、24本塁打を放った細川。真価を発揮した和製大砲が昨年の「現役ドラフト」までを振り返る
最後のチャンスだなって
しかしそのスマートフォンを鳴らしたのは、戦力外通告ではなく「現役ドラフト」による移籍の連絡だった。12月9日、東京都内で電話を受けた細川は、中日から指名を受けたことを告げられる。
「驚きはなかったです。戦力外でないなら現役ドラフトに名前が出るかもしれない、という予感はありました。でもその時点ではもうプラスに捉えていました。このままベイスターズにいても、同じように終わってしまうかもしれない。頑張るしかないな、最後のチャンスだなって。環境を変えて心機一転やって、それでもダメならプロでは通用しなかったと思うしかない、って……」
「初打席初本塁打」は、あまり記憶にない
1週間後の12月16日に名古屋市内で入団会見すると、その足で家探しをして新居を即決。ラストチャンス……そう腹を括った新天地で、新しい挑戦が始まった。
プロ6年目、24歳にして戦力外を覚悟していたという細川だが、スラッガーとしての才能には煌めくものがあった。明秀学園日立高校時代は全国大会とは無縁だったが、2016年ドラフトでDeNAに5位指名を受け入団。ルーキーイヤーの17年には、10月3日の中日戦でプロ初打席、初スイングでバックスクリーン直撃の3ランを放つ鮮烈デビューを果たした。高卒ルーキーとして「初打席初本塁打」は史上6人目の快挙。さらに翌4日の同カードでも2試合連続ホームランを放ち、『ハマのカブレラ』として一躍シンデレラボーイになった。
「どうやって打ったかとか、あまり記憶にないんです。打ったら、ああ入った、みたいな。本当に打てちゃったんだ、っていう感じの方が強かったですね。1年目はファームでは良い結果は出なかったですけど、最後に消化試合で一軍に上がらせてもらって1打席目でああいう形になった。頑張っていたのを見ていてくれたんだな、という感謝の気持ちと同時に、僕的には活躍しないといけないぞ、というプレッシャーにもなりました」