- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「和田(一浩)さんと心中してやる」現役ドラフトで中日に移籍、細川成也は“ラストチャンス”に賭けた「立浪監督から言っていただいたのが…」
posted2023/11/18 06:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Haruka Sato
本当にドラゴンズに来て、良かったな
この秋、細川はナゴヤ球場やバンテリンドームで行われた秋季練習で、心ゆくまでバットを振り込み自らの課題と向き合った。
「やっぱりまずは(ホームラン)30本は打ちたいなっていう目標があります。あとは打率も打点も、全てにおいて来年もキャリアハイの数字を残したいです」
目を輝かせて抱負を口にするその表情には、この1年で得た手応えと自信が滲んでいる。今シーズン、移籍した中日で140試合に出場しチーム最多の24本塁打を放った。ベイスターズ時代は一軍に定着できなかった男が、1年間一軍で戦い抜き、打線の主軸を担った。「現役ドラフト」という転機が、プロ野球人生を大きく変えたのだ。
「本当にドラゴンズに来て、僕は良かったなって率直に思っています。いい出会いがたくさんありました。尚且つ、自分自身が心機一転、また頑張れるという心境にもなれた。そういう面ではやはり環境を変えるっていうのは本当にいいことだったなと実感しています」
和田打撃コーチとの出会い
新しい環境、新しい競争。何より大きかったのは、和田一浩打撃コーチとの出会いだ。現役時代、通算2050安打を放った名球会プレーヤーが、春季キャンプから付きっきりで細川を指導した。持ち味であるスイングの力強さはそのままに、体の使い方や体重移動を意識してボールを確実に捉えられる打撃フォーム改造に二人三脚で取り組んだ。
「一番変わったのは、タイミングです。和田さんのアドバイスで、バットの始動を早くして、大きく足を上げてタイミングを取るようにした。そこでボールをしっかり捉えられる感覚が身についた。今も色々と改良しているところはありますけれど、タイミングというのは一番大事にしてやっています」
僕的にはもう、これでだめだったら終わり
バッターが打撃フォームを大きく変えることには少なからず戸惑いもあるものがだが、細川は全く抵抗がなかったという。ベイスターズ時代に積み上げてきたものを全て捨てても“ラストチャンス”に賭ける、という覚悟がその体を突き動かしていたからだ。