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まさかの戦力外続出、監督交代も…いまソフトバンクに何が起きているのか? “ナゾだらけ”の1週間に記者絶句「新チーム始動の日にどうして…」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/25 06:03
10月17日、退任会見を終えたソフトバンクの藤本博史監督
もちろん彼らのアピール不足や、厳しく言えば実力不足だった点は否めないが、実際にファーム施設のある筑後で取材をしていると例年以上に育成選手のモチベーションの低さが目についたし、諦めに近い愚痴を耳にすることもあった。とどのつまり環境整備をしなければ、ダイヤの原石をかき集めたところで宝の持ち腐れである。そのため今オフは相当シビアな視点に立ち“聖域なき整理”を行う必要に迫られていたと考えるのが妥当だろう。
とはいえ、ファンはどれほどショックを受けただろうか。まだこの事実を受け止めきれない人もいるだろう。そこで思う。長年プレーした選手たちと球団に、もう少しいい「別れ方」はなかったのだろうか、と。
対面で“通告されるはず”の22日…異例の事態
クライマックスシリーズは10月21日に終了していた。戦力外通告期間は、選手会と12球団の折衝により2007年に開かれたプロ野球実行委員会で現在採用されている草案が固められた。2段階で時期を設けることになっており、今季は第1次期間が10月2日からCS開幕前日の13日まで、第2次期間はCS全日程終了の翌日(22日)から日本シリーズの全日程終了翌日までとされている。
22日の朝、PayPayドームに赴いた。9時に到着すると、すでに数名の仕事仲間がいた。その後も続々と集まってくる。
ソフトバンクはある程度の全容がメディアで明らかになった以上、初日の22日には選手が球団事務所に呼ばれ、通告を受けるはずだと思われたため、メディアが集まったのだ。
番記者は、選手とファンのあいだをつなぐ立場でもある。
記事のネタのために動いていると言われれば、それもウソではないが、年がら年中チームを追っている我々だって人間なのだから付き合いが長ければ愛着もわく。ファンが選手を想って応援している姿だって見ているし、その選手自身が今後どんな身の振り方をするのか気にもなる。ファンのためにメッセージを届ける場として活用してほしいし、現役続行の希望があるならばメディアを通して訴えかけることで他球団の編成担当者の耳に熱意が伝わるかもしれない。少なくとも彼らの人生の岐路に対して面白半分で向き合っている者などいるはずがない。