野球のぼせもんBACK NUMBER
まさかの戦力外続出、監督交代も…いまソフトバンクに何が起きているのか? “ナゾだらけ”の1週間に記者絶句「新チーム始動の日にどうして…」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/25 06:03
10月17日、退任会見を終えたソフトバンクの藤本博史監督
22日は日曜日だった。シーズン中のホーム試合ならばともかく、球団も休業日である。午前9時半になっても球団事務所は暗いままだった。
2時間が過ぎた頃。しびれを切らした記者の1人が球団広報に確認をとる。電話を切ると「今日、誰もここには来ないと言われました」と教えてくれた。
どういうことだろう。あまり前例のないことだった。
それでも、我々は待つ。待つことも仕事なのだ。
疑問「どこで選手に通達が行われたのか」
午後2時ちょうど、そこにいる人々のスマホの通知がなった。「来季契約について」のタイトルがつけられた球団からの広報連絡だ。添付されたPDFファイルを開くと「以下の選手に対し、来季の支配下選手契約を締結しない旨を通達しましたのでお知らせします」との文言の下に、7名の選手の氏名がただただ羅列されていた。
果たして、どこでどのようにして通達が行われたのか。
わざわざ別の場所で? まさか、電話で? そんな失礼なことがあるはずはないと信じたいが……。あるいは、22日より早く構想外を通告したのか。
翌23日、ソフトバンクは小久保新監督の就任会見を行った。その会見前に球団関係者に事実確認したところ「電話で伝えることはない。きちんと会ってお伝えをしています」との回答を得たが、それ以外については答えてもらえなかった。
小久保ホークスの初日に…荷物整理の選手たち
同日午後はPayPayドームで秋季練習を開始。小久保新監督もユニフォームに身を包んでグラウンドに立った。ただ、グラウンドのメディアエリアには殆ど誰もいなかった。構想外を告げられた一部選手が挨拶や荷物整理のため球場を訪れており、彼らの反応を取材すべく通路で待っていたためだった。「構想外になったことについて」の取材だから球団広報がセッティングすることもない。だから待つしかない。ひたすら待って、とにかく待って、彼らを取材することができた。語られた言葉は各メディアで報じられ、テレビで放映された選手もいた。全員がこれまで応援してくれたファンへの感謝の思いを口にしたし、現役続行の決意も明言した。
番記者としてひとつの役割を成し遂げたという思いはある。しかし、小久保ホークスが華々しいスタートを切るその日に、とは思う。
「美しさ」を目指すチームの門出にふさわしいだろうか。言葉にできぬ寂しさと虚しさで、またため息をついてしまった。