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「校舎3階の窓ガラスを破壊、相手のセカンドがライトの位置に」阪神“不動の中軸”佐藤輝明…野球部元相棒が語る高校時代の《サトテル伝説》
posted2023/10/19 11:00
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
本人提供
18年ぶりに歓喜のリーグ優勝を果たした阪神タイガース。後半戦からは盤石の独走態勢を築き、圧倒的な強さを見せつけた。その終盤の圧勝劇の立役者となったのが、2020年の「ドラ1」でチームの顔のひとりでもある佐藤輝明だ。6月下旬に2軍落ちを経験するなど序盤は苦しんだが、9月、10月は26試合で打率.356、9本塁打、29打点と大爆発をみせた。
現在は日本シリーズを賭けたクライマックスシリーズの真っ最中。そのキーマンでもある佐藤だが、実は高校時代は甲子園出場経験もない高校の無名選手だった。それでも随所に見せた大器の片鱗を、当時の同級生が振り返る。(全2回の1回目/後編を読む)
「あれ、思ったより小さいんやな――」
桑田理介が仁川学院高校の野球部で同級生の佐藤輝明と出会った時、最初に抱いた印象はそんな意外なものだったという。
「もともと中学の時に入っていたクラブチームの2つ下の学年にテルの弟がいたんです。そいつが中1でもう身長が僕よりでかくて、めっちゃ大きかった。その兄貴が同じ高校にいるというから『どんだけでかいんやろ』と思って会ってみたら、当時は170cmくらいしかなくて身体もヒョロヒョロで。それで最初はそんな風に思ったのを覚えていますね」
もちろんその“小さな同級生”が後に4球団競合の末、阪神タイガースにドラフト1位で入団することなど、この時の桑田は知る由もない。
決して野球の強豪校というわけではない仁川学院高
大阪桐蔭や履正社、同じ兵庫県内でも報徳学園や東洋大姫路など名門校ひしめく関西地区において、2人が入学した仁川学院高は決して野球の強豪校というわけではない。
野球部は甲子園出場経験などもちろんなく、佐藤は「家から近いから」という理由で、桑田は「野球一本だけにならない高校を」という理由で、それぞれ同校を選んでいた。
「部員も1学年10人ちょっとくらいですかね。名門校とは比べるべくもない。野球の推薦もないからみんな普通に入試をパスして入ってきた子たちです。もちろん自分もテルもそう。甲子園は……目指してはいましたけど、現実的だったかと言われると微妙かもしれないですね」
そんなチームの中にあって、桑田と佐藤は入部早々から頭角を現していった。
春の練習試合からAチームに参加し、秋季大会では2人で早々にベンチ入りを果たすと、桑田は佐藤より一足早くスタメンにも選ばれた。