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まさかの敗戦→快勝…男子バレー“本当の実力”は? イタリア老舗紙のベテラン記者が熱弁「日本は世界の勢力図を変えた」「驚きは175cmのセッター」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byFIVB
posted2023/10/04 11:39
ネーションズリーグでのメダル獲得など、世界の評価を高まっている男子バレーボール日本代表
――昨シーズンの活躍ぶりは鬼気迫るものでした。石川のスキアッチャトーレ(=スパイカー)としての特長を挙げるとするなら?
彼は技術的に高度にバランスの取れたプレーヤーだ。スパイクやレセプション、トスワークといった基礎テクニックが非常に高いレベルにあり、確か少年時代にはセッターもしていたと聞いている。セリエAの実戦でも問題なくトスを上げられているのだから彼の技術は本物だ。打つ、受ける、上げる、いずれも高次元の彼は、現代バレーボールの申し子といえる。
――過去、セリエAには男女問わず日本人選手が挑戦してきました。石川はおそらく最もイタリアのバレー界に適応した選手ではないでしょうか。
2002年にトレヴィゾに来た加藤(陽一。元日本代表主将)を覚えているし、その前の1999年には眞鍋(政義。現日本女子代表監督)もパレルモでプレーしたね。だが、彼らを始め、ほとんどの日本人のイタリア挑戦はいずれも1年、長くても2年という短期間で終わった。それぞれに理由はあったのだろうが、彼らと石川が異なるのは、自身のバレーボールの理想を認識し、それをセリエAで追求していくのだという決意の強さではないかと思う。今、ミラノを引っ張るリーダーの一人としての自覚はそこから来ているのだろう。
高橋藍、西田有志…日本人に共通すること
――石川のみならず、昨季パドヴァでプレーした高橋藍(22歳)も今季モンツァへ移籍してイタリア挑戦を続けます。西田有志(23歳)も2021-22年シーズンにヴィボ・ヴァレンティアでセリエAに挑みました。彼らの挑戦によって、日本のバレーは変化していると思いますか?
日本のバレーはここ数年の間にかなり急成長したと私は思っている。特に外国人監督の指導によってメンタリティに変化が起き、日本国外に出てプレーしようという気概にあふれる若い世代が増えてきたのが大きな要因だろう。彼らは海外挑戦こそ強くなるための道だと理解している。昨季の高橋の働きぶりにも顕著だったが、彼らのプレーの一つ一つには、きちんと“求められた責任をやり切る”という意思が込められている。