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高校野球の“丸刈り強制”ルール…もし裁判で争ったらどうなる? 弁護士が“驚きの答え”「合理性があると判断される」「5年後はわからない」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2023/10/01 11:01
丸刈りの強制は人権侵害に抵触するのか? そして、どこまでの言動ならパワハラ認定を免れるのか? 弁護士に聞いた
松坂 NumberWebの記事でしたけど、日本の高校生が韓国に修学旅行に行ったとき、野球部の生徒たちは現地の人にヤクザと間違えられたという記事もありましたもんね。おそらく、韓国では「丸刈り=怖い人」というイメージなんでしょうね。
――欧米もそうだと思います。ある学校の野球部はアメリカに修学旅行に行くとき、旅行会社の人に、丸刈りだと脱獄囚と間違えられて、場合によってはピストルを抜かれる危険性があると言われ、それを機に丸刈りをやめたと言っていました。日本における丸刈りに対する見方も、あと5年したら、どうなっているかわからないですよね。
「信念として丸刈りを貫く」は許容されるべき
松坂 それは変わると思いますよ。それこそ、極端な話、入れ墨を入れろ、みたいのと同じイメージになっている可能性もある。世界の人権意識を反映して、それくらいのスピード感で日本人の人権意識も変化しています。そうなったら、裁判所の判断にも影響します。ただ、そういう中でも「うちは丸刈りでやっていきます」という団体は残ると思うんですよね。
――不合理だけど、それを承知であえてやるんだ、と。そうなんですよね。合理性ばかりが幅を利かせる社会になると、そういうチームも見てみたくなる。
松坂 野球に集中するということの表れが、この丸刈りなんです、と。そして、その方針に納得した選手だけが、その野球部に入部すればいい。何も考えずに固定観念で丸刈りにしているのではなく、信念としてこのスタイルを貫くんだということであれば、それは許されるべきだと思うんです。
〈#2「部活で普通も“じつは法律的に危ない”監督のパワハラ言動」編へつづく〉