酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
“賛否両論の吉田輝星881球”から5年、夏の甲子園「球数・継投」どうなった? 慶応エースは362球、全校最多の仙台育英・湯田統真でも…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/09/04 11:04
2018年夏の甲子園、1人で投げ切った金足農・吉田輝星(写真中央)。そこから5年、仙台育英や慶応のような投手運営が増えている
〈2019年〉
594球 清水大成(左・履正社)
(5試35.2回33三 率4.04)P/IP 16.65
512球 奥川恭伸(右・星稜)
(5試41.1回51三 率1.09)P/IP 12.39
355球 荒井大地(右・高岡商)
(3試23.1回12三 率5.01)P/IP 15.21
352球 林勇成(右・作新学院)
(3試24.2回11三 率2.19)P/IP 14.27
337球 不後祐将(左・中京学院大中京)
(6試19.1回20三 率4.19)P/IP 17.43
〈2021年〉
483球 山田陽翔(右・近江)
(6試30回31三 率2.36)P/IP 16.10
388球 ヴァデルナ・フェルガス(左・日本航空)
(3試24.1回19三 率2.36)P/IP 15.95
324球 小畠一心(右・智弁学園)
(6試25回18三 率2.36)P/IP 12.96
296球 阪上翔也(右・神戸国際大付)
(4試19回14三 率2.36)P/IP 15.58
276球 河野颯(左・高川学園)
(2試17回9三 率2.36)P/IP 16.24
〈2022年〉
644球 山田陽翔(右・近江)
(5試38回51三 率3.36)P/IP 16.95
551球 佐山未来(右・聖光学院)
(5試34.2回15三 率4.36)P/IP 15.31
441球 古賀康誠(左・下関国際)
(5試23回17三 率5.36)P/IP 16.13
380球 有馬伽久(左・愛工大名電)
(4試25.1回16三 率6.36)P/IP 12.26
353球 仲井慎(右・下関国際)
(5試21回26三 率7.36)P/IP 15.35
〈2023年〉
412球 湯田統真(右・仙台育英)
(6試25.1回31三 率3.20)P/IP 16.26
369球 黒木陽琉(左・神村学園)
(5試22.2回23三 率1.99)P/IP 16.28
365球 藤本士生(左・土浦日大)
(6試28回17三 率1.29)P/IP 13.04
362球 小宅雅己(右・慶応)
(5試28回15三 率0.64)P/IP 12.93
342球 東恩納蒼(右・沖縄尚学)
(3試23.1回21三 率1.93)P/IP 14.66
こうして見ると、2018年の金足農の吉田輝星の881球がいかに突出しているかが分かる。
好投手は球数が多くなる傾向にあったが、今年は?
翌年以降、トータルの球数は減少する傾向にあるが、それでも好投手が出ると、多くの球数を投げる傾向にある。
2016年球数1位の作新学院・今井達也は西武の先発投手として活躍しているが、この年5位の履正社、寺島成輝はヤクルトに入団したものの昨年、戦力外になった。
2018年、球数3位の大阪桐蔭・柿木蓮は吉田輝星と共に日本ハムに入ったが、今は育成。2019年球数2位の星稜・奥川恭伸はヤクルト入団、2021年後半はエース級の活躍だったが今年はまだ一軍で投げていない。
2021年、近江・山田陽翔は2年生ながら全5試合に登板(準々決勝では一度降板して再度登板、登板数としては6)し、完投は無かったものの大会最多の483球を投げチームをベスト4に押し上げた。翌2022年も全5試合に登板し1完投、2年連続最多の投球数となった。チームはベスト4。昨年ドラフト5位で西武に入団。一軍登板はない。
最後に、今年の傾向を見ていこう。