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「走っていないことに不安はない」カープ床田寛樹が今季絶好調の理由は走り込みしなかったから? どうなる球界の常識
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/28 06:00
走り込みを行わずとも今季好調の床田。8月25日時点で10勝、防御率2.03と、どちらもリーグ2位の好成績を残している
日進月歩で進化するスポーツ界のトレーニングにおいて、「走り込み」という練習法をどうとらえるべきなのか。三浦トレーナーは強弱や濃淡、メリハリなど、バランスの重要性を説く。
「長期的に考えたときには走れた方がいいと思います。ずっと同じことをしていればいいと思っていても体は変化する。同じことをやっていても変化は生まれない。いろんなことをやって、体が強くなったりする。その選択肢が少ないのはマイナスになりかねないのかなと」
走り込みの良し悪しとは
走り込みが重んじられた時代を生きた菊地原毅投手コーチも、走り込まない調整法に理解を示す。
「今は時代が違うから。僕自身、走り込んだからこそできたこともあるけど、走り込まない練習で可能になることがあったかもしれない。結論は分からない。トレーニングも変わってきているし、選手によっても違うだろうし」
現役時代の01年には当時の日本タイ記録となるシーズン78試合に登板し、オリックス時代の05年には最優秀中継ぎ投手となった実績をもってしても、時代の変化に柔軟に適応する必要性を感じている。
走り込まずにキャリアハイのシーズンを送る床田だが、一方で走り込むことから目を背けているわけではない。
「そんな甘いものじゃないと思っています。30(歳)を超えると体がしんどくなると聞くので、長い目で見れば走っておいた方がいいのかな」
走るべきか走らざるべきか、その答えが出るのは来シーズンなのかもしれない。