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「自分の成績を見るのが嫌でした」昨季打率.103→今季.269、DeNA山本祐大24歳が語る“打撃覚醒”秘話「昨年まで本当に打てなさ過ぎて…」
posted2023/08/28 11:04
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Sankei Shimbun
打てることの大切さと、マスクをかぶる喜び――。
今シーズン、最多勝を狙える位置につけている横浜DeNAベイスターズの東克樹の捕手として、チーム内で存在感を高めているプロ6年目の山本祐大。勝利へ導く東への巧みなリードばかりでなく、今季は打撃においても成長を見せ、ここまで48試合に出場し(スタメン32試合)打率.269、OPS.692(8月28日現在、以下同)と捕手として十分な数字を残している。確実な変化。山本は過去を振り返り、苦笑しながら次のように語った。
昨年までは、本当に打てなさ過ぎて……
「昨年までは、本当に打てなさ過ぎて……。打席に入ると自分の成績がバックスクリーンに出るじゃないですか。それを見るのが嫌でしたし、恥ずかしいなって……」
ルーキーイヤーからバックアップとして一軍で経験を積んでいたが、山本がチームに本格的に帯同されるようになったのは2年前の2021年シーズンからだ。この年、武器である強肩を駆使し盗塁阻止率.368を記録するなど守備面で評価を受けたものの、いかんせんバッティングで不甲斐ない状況がつづいてしまった。2021年の一軍での打率は.131、2022年は.103と低迷し苦しんだ。いくら捕手としてのスキルを評価されても、打てなければ起用をされるチャンスは限られてしまう。
「どうしても(打撃で)結果を残したいという思いが強かった、この1~2年でした。もちろん今も結果を残さなくちゃいけないんですけど、過程が大事というか、やるべきことにしっかりと取り組めているので、それがいい結果に繋がっていると思います」
日々の積み重ね。経てきた道は決して無駄ではない。山本は、これまで足を高く上げたり、摺り足にしたり、またヘッドの位置の調整、タイミングの取り方など、バッティングにおいてさまざまなアプローチをしてきた。キャッチャーミットをつけていない時間は、常にバットを手に振り込んでいる山本の姿がグラウンドにはあった。
シンプルに振るのが一番いいんじゃないか
そんな山本の打撃改革に大きな影響を与えたのは、チームメイトの桑原将志だという。