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“脱スポ根の少年野球”へ「感情で指導しないでください」監督が保護者と交わした3つの約束「私も長年、怒鳴っていたがそれでは子供が…」
text by
辻正人Masato Tsuji
photograph byKANZEN
posted2023/07/17 17:01
「多賀少年野球クラブ」の監督が考える少年野球の問題点とは?
選手たちは楽しそうにプレーして勢いに乗りました。結局、1学年上の強豪チームにコールド勝ち。私は「やっぱり、このやり方だ。夢の通りだ」と確信しました。
“スポ根”から脱却して入団希望者が増えた
試合を終えて、5、6年生チームを指揮するコーチに電話しました。試合結果を聞くと、「全然駄目です。1点差で何とか勝ちましたが、負けてもおかしくない内容でした」と沈んだ声が返ってきました。私は「大丈夫。これから、そっちに行くから午後の試合は任せておけ」とコーチにウキウキした声で話しました。5、6年生チームの試合会場に移動して、午後からの試合は4年生チームと同じようにベンチを盛り上げようと決めていました。
チームメートの全力プレーを称える方法は、5、6年生チームでも上手く機能しました。午前中の苦戦が嘘のように、全く別のチームに生まれ変わりました。相手は難敵でしたが、見事に勝利。この時のチームは選手個々の能力は、そこまで高くはありませんでしたが、マクドナルド・トーナメントで優勝しています。
この夢が転機となり、チームの空気や選手の表情は変わりました。“スポ根”からの脱却です。チームの入団希望者が大幅に増え始めたのも、この時期からでした。普段の練習中は、1つ1つの課題をクリアすることに力を注ぎます。グラウンドでは、ゆっくりと考える余裕はありません。寝ている時間に、じっくり考えているのだと思います。なので、夢の内容が指導のヒントにあることは珍しくありません。いい夢を見た時はテンションが上がり、早くグラウンドに行きたくてたまらなくなります。
<#3につづく>