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大谷翔平“2年前に成績下落”HRダービーは辞退すべき?「超広角ホームラン」「4.9日に1度登板」MVP→WBCからまた進化したけど…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2023/06/28 17:02
切れ味を増すばかりの二刀流で、WBCから今シーズン出ずっぱり状態の大谷翔平。HRダービーはどうする?
今季、安打数が増え、打率が向上しているのは今年から「極端な守備シフト」が禁止されたことも大きい。しかしそれを抜きにしても打撃は好調だ。本塁打、打点、OPSはリーグトップ。そして2021年のレベルに近い。
投手・大谷も驚異的、被本塁打が増えたのはナゼ?
投手・大谷翔平も驚異的だ。
2021年は規定投球回数(81回)に遠く及ばない59.1回、2022年も74回だったが、今季はすでにクリアしている。登板間隔は2021年が中6.1日、22年が5.9日だったのに対し、今年は4.9日。本人の要望もあったというが、NPB時代よりも短いインターバルでマウンドに立ち続けている。彼の身体はどうなっているのだろうと心底思う。
投球数は2021年の929球から65%も多い1534球。このペースではシーズン3000球を越える球数を投げることになる。ストライク率は、昨年、今年と先発投手の合格点である60%を大きく上回っている。制球力も良いのだ。
2022年は2点台だった防御率が3点台になった。打者・大谷には有利に働いていた「極端な守備シフトの禁止」が、投手・大谷には不利になったこともあるだろうが――被本塁打が増えたことが大きい。
今年の大谷への各打者のマークは例年以上に厳しい。WBCではスイーパーとツーシームを駆使して侍ジャパンを優勝に導いたが、シーズンでは同じ投球パターンが2~3試合続くと打ち込まれるようになり、大谷は投球の組み立てや球種を頻繁に変えている。それでも配球を読まれてスタンドに運ばれることが多くなっているのだ。
大谷はデータを極めて精細にチェックしているが、同様に大谷を徹底的にマークする相手チームの打者、アナリストとの「情報戦」が続いているのだろう。
「反対方向への本塁打」が増えている
投打両面で超ハイレベルの成績を残している大谷。続いては――ここ3年間の本塁打の「中身」について見ていこう。
〈飛んだ方向 右は右中間、左は左中間含む〉
2021年 46本
右 33本(71.7%)
中 6本(13.0%)
左 7本(15.2%)
2022年 34本
右 18本(52.9%)
中 10本(29.4%)
左 6本(17.6%)
2023年 28本
右 16本(57.1%)
中 6本(21.4%)
左 6本(21.4%)
2021年に比べて、最近はいわゆる「反対方向」への本塁打が増えていることがわかる。ここ2年、大谷の反対方向へのホームランは、打撃の好調ぶりを示すバロメーターになっている。2022年8月は8本塁打したが、このうち5本が反対方向だった。また今年6月も12日から17日までに5本連続で反対方向への本塁打を打った。