酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平“2年前に成績下落”HRダービーは辞退すべき?「超広角ホームラン」「4.9日に1度登板」MVP→WBCからまた進化したけど…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2023/06/28 17:02
切れ味を増すばかりの二刀流で、WBCから今シーズン出ずっぱり状態の大谷翔平。HRダービーはどうする?
2021年 オールスター前後の成績
前:84試301打数84安33本70点12盗 率.279 OPS1.062
後:71試236打数54安13本30点14盗 率.229 OPS.840
特に本塁打数は半減した。そして後半戦の本塁打13本のうち12本が右方向。打撃好調のバロメーターである「反対方向」への本塁打は1本だけだった。
ホームランダービーでは、コーチなどが投げる緩い球を打者がフルスイングしてスタンドに運ぶことになる。反対方向に飛ぶ打球は少なく、ほとんどが「引っ張り」になる。無理をして引っ張る打撃を繰り返すことで、感覚が狂う恐れはあるだろう。
6回途中1失点で7勝目、マルチ本塁打って…
「大谷翔平の打撃技術は、2年前より進化しているから大丈夫だ」という声もある。
しかし今年の大谷は、現時点で打者としてはア・リーグ3位タイの355打席に立ち、投手としては8位の95.1イニングを投げている。どちらも「規定」をクリアしている。
WBCでも参加投手最多の9.2回を投げるなど、大谷翔平は春先からフル回転が続いている。現時点で、すでに大谷は前代未聞の成績を残しつつある。
なお大谷は――日本時間6月28日のホワイトソックス戦で投げては6.1回102球10奪三振、自責点1で7勝目、打っては3打数3安打2本塁打(右中間、左中間方向へ)2打点という恐ろしい数字を残した。このために筆者は締め切り直前でデータを全面的にアップデートする羽目になった。「大谷翔平から目が離せない」とは、まさにこのことだ。
ホームランダービーは、若手の登竜門という側面もある。今やMLBでも飛び抜けたスター選手になりつつある大谷が、あえて挑戦すべきステージではないと思う。無理にフルスイングしてわき腹を痛めるなど故障のリスクも高まる。
今季は、チームもポストシーズン進出の可能性がある。元気いっぱいの大谷ではあるが、秋に活躍する「余力」を残してほしい。筆者はホームランダービーは、辞退すべきだと思うが――いかがだろうか?
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