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横浜流星が合格した「ボクシングのプロテスト」はどれくらい難しい? 関係者が語る実情「1年は練習が必要」「就活に役立ったという声も」
posted2023/06/23 17:12
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Getty Images
人気俳優の横浜流星さんがボクシングを題材にした映画『春に散る』(8月25日公開)でボクサー役を演じるため、役作りでボクシングのトレーニングに励み、プロテストに合格した。このニュースを目にした瞬間、「おっ、すごいな!」と感心した人も多かったのではないだろうか。
一方で、「ボクシングのプロテストっていったいどんなもの?」と聞かれて詳しく答えられる人はきっと少ない。そこで本稿では横浜さんのテスト合格を機に、知られざるボクシングのプロテスト事情を紹介したい。
他国とは異なる日本のボクサーライセンス制度
日本でプロボクサーになるためには日本プロボクシング協会加盟のジムに所属し、日本ボクシングコミッション(以下、JBC)からボクサーライセンスを取得しなければならない。そのために設けられているのがプロテストだ。受験資格は満16歳から満34歳までの男女(試合出場は17歳から)。ただしアマチュアボクシングで5勝以上している場合、審査の上でC級テストを免除されることもあり、必ずしも全員がプロテストを受ける訳ではない(B級、A級については後述する)。
そもそも、プロテストは日本独自のもので他の国にはない、ということをご存じだろうか。JBCでプロテストを15年以上担当している福地勇治レフェリーが、その理由を教えてくれた。
「他の国はアマチュアで経験を積んだ選手がプロになりますけど、日本の場合、ボクシング経験のまったくない人がプロを目指す、プロになるという文化が昔からあります。ただ腕っ節が強いというだけでリングに上がったらボクシングじゃない。危険を伴うスポーツでもありますから、そこは一つハードルを設けるという意味でテストがあります」
ボクサーライセンスはA級、B級、C級とあり、A級は8回戦(8ラウンド)以上、B級は6回戦、C級は4回戦の試合に出場できる。B級テスト受験資格には「アマチュアで全日本ランキング10位以内相当の実績を有する者」と規定されている。ようはアマチュアでならした選手、あるいは那須川天心(帝拳)のようにキックボクシングの実績でもB級受験が認められるケースがある。アマチュアで秀でた成績を残した選手に、最初からA級ライセンスが認められる特例もある(たとえば井上尚弥がそうだ)。C級ボクサーは4回戦で4勝するとB級に、B級ボクサーは6回戦で2勝するとA級に昇格できる。