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「僕は井上くんのパンチのヤバさを味わっている」“井上尚弥を最も苦しめた男”が予想する、井上vsフルトン「正直フルトンのコワさって感じません」
posted2023/06/16 17:02
text by
林壮一Soichi Hayashi Sr.
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
その井上が「最強の対戦相手だった」と折に触れ、名前を挙げてきたのが田口良一(36歳)だ。4年前に引退し、いまは指導者としてボクシングと関わる田口に、井上尚弥vsフルトン戦の行方を予想してもらった。
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「井上尚弥を最も苦しめた男」が見たフルトン
昨年12月13日にバンタム級4冠を統一した井上尚弥(30歳)が、スーパーバンタム級転向第1戦で、WBC/WBO王者のスティーブン・フルトン(28歳)に挑むこととなった。7月25日、有明アリーナでゴングが鳴る。
24戦全勝21KOの井上に対し、フルトンの戦績は21戦全勝8KO。前バンタム級統一チャンピオンは身長165cm、リーチ171cm。現スーパーバンタム級2冠王者は、身長169cm、リーチ179cm。そのサイズの差を懸念材料とする声もある。
今回も、日本ライトフライ級チャンピオンとして、プロ4戦目の井上尚弥の挑戦を受けた田口良一(36歳)に勝敗を占ってもらった。井上自身が、ノニト・ドネアとの初戦まで、「対戦した中で、最も強かった選手」として名前を挙げた男が田口である。田口もまた、井上戦後にWBAライトフライ級王座に就き、7度防衛。IBF同級チャンプとの統一戦にも勝利した。
井上尚弥vsフルトン戦が発表になった後、田口は2021年11月27日に催されたWBO王者フルトンvsWBCチャンピオン、ブランドン・フィゲロア(26歳)のスーパーバンタム級タイトル統一戦(フルトンが2-0の判定勝ち)、そして、2冠王者となったフルトンが、昨年6月4日にダニエル・ローマン(33歳)を大差の判定で下して防衛に成功した一戦の映像を目にした。
フルトンvsフィゲロア戦は、接近戦での打ち合いに終始した。両者共に、見せ場はあまり作れず、井上が見せてきたような芸術性の高いパフォーマンスは披露できなかった。
以下、田口に解説してもらった。
「きっと井上くんが圧勝する」
「1引き分けはしていたものの、フィゲロアも23戦して負け無しでしたよね。フルトンは下がってクリンチするシーンが多かった。足が突っ立っていて重心も高く、正直なところ、これが統一戦なのかと思いました。井上くんを相手にフルトンの怖さって、正直感じませんね。自分としては、なぜ、フルトンが井上くんに対してあんなに自信満々なのか、ちょっと分からないというのが率直な印象です。