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大谷翔平とダルビッシュが異口同音に「合っているかどうかの確認です」“超一流メジャーのデータ活用術”をWBC侍スタッフ星川太輔が見た 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/06/22 11:02

大谷翔平とダルビッシュが異口同音に「合っているかどうかの確認です」“超一流メジャーのデータ活用術”をWBC侍スタッフ星川太輔が見た<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

第5回WBCで最も注目を浴びた大谷翔平とダルビッシュ有。彼ら一流メジャーリーガーはどうデータを活用していたのか

〈報じられているように、ダルビッシュ投手はWBCの間、コンディションがいいとは言えませんでした。だから、そういう修正に取り組んでいたんだと思います。そこにも使いたいから「トラックマン、使いますか?」と聞いたときに「超助かります」と言ったんだと思います〉

 さらにダルビッシュと大谷は「SSW(シームシフトウェイク/Seam Shifted Wake=ボールの縫い目が投球の変化量に及ぼす影響)」など最先端のデータにも関心を持っていた。

〈2人とも、自身の考えをしっかり持っていたのが印象に残っています〉

トラッキングデータには「言葉のフォロー」も必要

 今回のWBCでも1球ごとのデータはデータスタジアム社からチーム、選手に提供され活用されていた。しかしトラッキングデータはまた異なる分野でチームに貢献していたわけだ。

 星川氏は「トラックマン」野球部門の責任者として、12球団の選手やコーチ、フロントスタッフと日常的に意見交換をしている。今回の代表チームの選手らとも何名かは事前に面識があったし「何をしている人なのか」についても、選手はわかっていた。だからコミュニケーションが円滑にできたのだろう。

〈今、12球団すべてにアナリストがいます。トラッキングデータがなかった10年前にはいませんでした。この7、8年でざっくり12球団×5名=60人のアナリストが誕生し、新しい職業が生み出されました。僕はパイの奪い合いではなく新しい価値を作り出したいと思って仕事をしているのでこれは大変嬉しいことです。もっと日本の野球を良くしたい、発展させたい、そういう志を持ったNPBや各球団関係者のご理解があればこそです。

 いまアナリストになりたい若者・学生がとても増えてきていますし、扱う大学・専門学校も出てきました。僕みたいに野球選手として実績がなくても頑張れば日本代表チームのメンバーとして彼らとともに世界一を目指すことができる。スキルを学び夢を持って羽ばたいて欲しいですね〉

 第4回では打者・大谷のデータ活用のすごみ、そして今回のWBCがもたらした日本球界への意義を語ってもらった。

#4につづく>

#4に続く
大谷翔平「憧れは捨てましょう」発言ベースに“データ活用の100%強振”「村上宗隆選手らの表情は…」侍分析担当が驚いた“WBC舞台裏”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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