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髙橋藍なぜ試合前に“ハグ”を? 仲間たちが「祐希さんに似てきた」と証言…サーブやレシーブだけじゃない21歳の“劇的な進化”のヒミツ
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![田中夕子](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO SPORT
posted2023/06/20 11:04
![髙橋藍なぜ試合前に“ハグ”を? 仲間たちが「祐希さんに似てきた」と証言…サーブやレシーブだけじゃない21歳の“劇的な進化”のヒミツ<Number Web> photograph by AFLO SPORT](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/e/700/img_beb07c98d6d7fbe85716a22a2de82cb2169155.jpg)
プレーだけでなく、振る舞いにも頼もしさを感じさせるバレーボール日本代表の髙橋藍(21歳)
日本代表に選ばれた当初は「ここに当てれば(ブロックアウトで)出せる」と自信を持って打ったスパイクも、世界を相手にすれば想像以上のパワーと力に跳ね除けられた。それならば、と自身もパワーと高さをつけるべく、石川にならって肉体改造に努め、体重も筋力も増え、打点の高さも増した。特に課題としてきた前衛時のスパイクは、髙橋自身も最も変化と成長を感じたと振り返る。
「筋力がついて、ジャンプの高さ自体が上がったので目の前にブロックが揃っていたとしても、打てるコースの幅やバリエーションが増えた。今までならばブロックアウトを獲る時も“ここしかない”と思っていたのが、ジャンプ力が増したことで“こことここに打てば出せる”と確信を持って打てるようになりました。決定率が上がったことも1つの成果ですが、ミスや被ブロックが減って効果率が増したことが一番嬉しかったし、求めていた成果でした」
“理不尽な起用法”から見出したヒント
この1年で表れた大きな変化。十分な収穫であるように思えるが、それでもイタリアでは試合になれば味わう、理不尽に感じる起用法もあった。
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髙橋はリーグ戦の大半の試合でスタメン出場を果たしたが、マッチアップするオポジットの選手が高さで勝る場合、ブロックを重視し、自身よりも高さのある同じアウトサイドの選手が抜擢された。
「海外だとディフェンス力を高めようと考えると、ブロックのほうが重視されがちなので高さが求められます。でもじゃあその高いブロックを抜けたら、上から打たれたら、というところまで徹底しているかと言えば日本ほどではありません。実際、僕もパドヴァではブロックでタッチしたボールが当然つながってくるだろうと振り返ったら、後ろでレシーブするはずの選手が追わずに落ちてしまい『行けただろ!』と思うことが何度もありました」
負ければ悔しいし、試合に出られないのも悔しい。しかも肉体改造でジャンプ力は上がっているにもかかわらず「高さ」を理由に外されればなおさらだ。だが、目先ばかりにとらわれるのではなく、同じ発想を日本代表での戦いに当てはめて考えると、思わぬヒントも見えたと振り返る。
「ブロックの高さだけを見れば、日本人選手は確かに低いです。でも、そこを補うために上から打たれることを想定してレシーバーがいるし、強打を上げて終わりではなく、攻撃につなげる精度もある。ブロックの高さがなくても後ろのレシーブや他のプレーで着実にカバーできる戦いができれば十分通用する、と思いました。石川選手が何度も言っていますけど、それぞれの“個”が強くなって、組織として総合力を高めれば、世界を相手にしても戦える自信しかないです」