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髙橋藍なぜ試合前に“ハグ”を? 仲間たちが「祐希さんに似てきた」と証言…サーブやレシーブだけじゃない21歳の“劇的な進化”のヒミツ 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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posted2023/06/20 11:04

髙橋藍なぜ試合前に“ハグ”を? 仲間たちが「祐希さんに似てきた」と証言…サーブやレシーブだけじゃない21歳の“劇的な進化”のヒミツ<Number Web> photograph by AFLO SPORT

プレーだけでなく、振る舞いにも頼もしさを感じさせるバレーボール日本代表の髙橋藍(21歳)

 ネーションズリーグでは、実際にその言葉を何度も体現して見せた。たとえ上から打たれようとも拾い上げるレシーブや、攻撃につなげる正確なハイセット。難しいトスを打ち切って得点につなげた石川や西田以上に、レシーブした髙橋やリベロの山本智大が喜んでいたのはまさに今の日本代表を象徴するシーンだった。セルビア戦後、フィリップ・ブラン監督もそれを勝因として明言している。

「あるチームはブロックが機能することで調子を上げますが、日本はレシーブも含めたディフェンスが機能することで調子が上がる。今日は藍、山本が非常にいいディグ(相手のスパイクをレシーブ)をして、それがチームの成功の鍵になりました」

負傷離脱の村山「祐希さんに似てきた」

 チームの軸として、勝利に導く選手になる。“なりたい”ではなく“なる”と断言する覚悟は、コートを離れた場所でも垣間見える。

 ネーションズリーグの開幕直前、14名を絞る最終選考の段階でミドルブロッカーの村山豪が負傷により離脱を余儀なくされた。村山は選ばれた選手たちに「頑張って」と悔しさが滲まないようにと笑顔で声をかけた。そんな先輩の心中を察してか、髙橋はこんな言葉を送っていた。村山が明かす。

「『来年が一番大事な試合だから、今しっかり治して、また一緒にやりましょう』と言われた後、明るく『豪ちゃんの愚痴が聞けないと寂しいから、早く戻ってきて』って(笑)。昨年も藍の頼もしさや強さを感じることはありましたけど、ケガをした自分に対してや最年少の甲斐(優斗/19歳)を常に気遣っている様子を見ると、その優しさや全体を見る感じが祐希さんに似てきたな、って。(9月で)22歳と思えないぐらいの余裕、ひと回り大きくなったのをすごく感じた。自分も頑張ろう、って前を向くことができました」

 イタリアで高めたテクニック、フィジカル、マインド。そして得られた自信を胸に、進むべき道をひたすら前へ髙橋藍は歩み続ける。

「バレーボールは夢のあるスポーツだと証明したいんです」

 劇的な成長を遂げてきた若者は、自身2度目の五輪までにどれほどの進化を遂げるのか。どんな壁も、笑顔で、楽しそうに飛び越えていく想像しかできない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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