モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
「決定的な解決策がない」日本メーカー低迷のなかマルケスの追撃はなるか? ドゥカティの独壇場が続くMotoGP序盤戦総括
posted2023/05/20 17:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
3月に開幕したロードレース世界選手権は、5月中旬のフランスGPで序盤の5戦を終えた。今年は通常の半分の距離とポイントで競われる「スプリント」が加わり、1戦2レース制となった。2レースとも勝った場合は、「スプリント」の12点と通常レースの25点を加え「37点」を獲得することになる。
ポルトガル、アルゼンチン、アメリカ、スペイン、フランスの5戦を終え、総合首位はディフェンディングチャンピオンのフランチェスコ・バニャイアで94点を獲得。MotoGP2年目のマルコ・ベゼッキが93点で総合2位。以下、3位にブラッド・ビンダー(81点)、4位にホルヘ・マルティン(80点)、5位にヨハン・ザルコ(66点)、6位にルカ・マリーニ(54点)と、KTMのビンダーを除けばシーズン開幕前の予想通りドゥカティ勢が上位を占めている。
加速が良くて、最高速も速い。加えて、ハンドリングも良いとなれば、誰が乗っても速いに決まっている。まさにドゥカティ全盛時代到来を感じさせるシーズンになっている。
シーズンはこのまま進行していくことが予想され、バニャイアにとってのライバルは他陣営ではなく、同じマシンに乗るドゥカティ勢になりそうだ。
KTMの躍進と振るわないアプリリア
一方、ウインターテストで低迷したKTM勢が大きく躍進した。ビンダーがドゥカティ勢の二人に肉薄し、ドゥカティから移籍したジャック・ミラーも随所で速さを見せて8位(49点)につけている。ウインターテストの時点でこんなリザルトは予想が出来なかった。好調の要因はマシンとタイヤのマッチングが良くなったこと。特にフロントの安定性が向上し、安定した走りでシングルフィニッシュを続けてきた。ドゥカティ陣営からエンジニアをヘッドハンティングし、マシン開発が進んだことも好結果につながっているようだ。
ウインターテストで好調だったアプリリア勢は、6位以下の大混戦の中でマーベリック・ビニャーレスが49点を獲得して7位、アレイシ・エスパルガロが42点で11位。今年はドゥカティ勢に肉薄することが予想されたが、5戦を終えた段階ではKTMほど目立つ結果は残せていない。