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「決定的な解決策がない」日本メーカー低迷のなかマルケスの追撃はなるか? ドゥカティの独壇場が続くMotoGP序盤戦総括 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2023/05/20 17:00

「決定的な解決策がない」日本メーカー低迷のなかマルケスの追撃はなるか? ドゥカティの独壇場が続くMotoGP序盤戦総括<Number Web> photograph by Satoshi Endo

フランスGPではホンダが新たに投入したカレックス製フレームのマシンで走ったマルケス。ポテンシャルの片鱗は見せたが決勝は転倒リタイヤ

 ライバルたちからはマルケスの“ひっつき走法”を非難する声も多いが、そんなことおかまいなしの強心臓でPPを獲得。「スプリント」では3位になり、「マルケス完全復活近し」と言われたが、翌日の決勝レースでは序盤の混戦の中でブレーキングミスしてミゲール・オリベイラに追突。この事故でマルケスは右手親指を骨折し、第4戦スペインGPまで欠場することになった。

 その間ホンダ勢では、第3戦アメリカズGPでサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)を得意とするアレックス・リンスが優勝したが、それ以外はリンスも含め低迷。そんな状況の中、フランスGPで怪我から復帰したマルケスがまたしてもPP争いの2番手と周囲を驚かせた。決勝は転倒リタイアだったが、ドゥカティ軍団相手に表彰台争いに加わる“マルケスらしい熱い走り”で存在感をアピールした。

外注フレームのポテンシャルは?

 フランスGPでマルケスが乗ったのは、Moto2クラスで圧倒的な強さを誇るカレックス製のフレームだった。ホンダが外注したフレームを実戦に投入したことで注目を集めたが、同じ車体で走ったチームメイトのジョアン・ミルは転倒リタイアし、従来のフレームで走ったリンスも転倒。中上貴晶は完走13台という大荒れのレースで9位がやっと。マルケス以外は相変わらずの苦戦が続いた。

 リアのトラクション不足がホンダ低迷のイチバンの理由で、気温と路面温度が上がるとリアのスピニングに手を焼く。「問題点ははっきりしているが、決定的な解決策がない」という点はヤマハ同様だ。ホンダとヤマハがコンストラクターズポイントで最下位争いをし、チームポイントでは、ワークスチームたるレプソル・ホンダが11チーム中11位というのが、いまの日本メーカーの現状である。

 シーズンは残り15戦。ドゥカティの独壇場が続くとしても、ホンダとヤマハにはその差を何としても縮めてもらいたい。それが出来なければ、日本製のバイクに乗りたいというライダーたちがいなくなることは間違いないし、数年前まで常勝を誇った日本のバイクメーカーが、「勝てるライダー」獲得に手こずる時代が来る、なんてことにもなりかねない。

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