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「決定的な解決策がない」日本メーカー低迷のなかマルケスの追撃はなるか? ドゥカティの独壇場が続くMotoGP序盤戦総括 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2023/05/20 17:00

「決定的な解決策がない」日本メーカー低迷のなかマルケスの追撃はなるか? ドゥカティの独壇場が続くMotoGP序盤戦総括<Number Web> photograph by Satoshi Endo

フランスGPではホンダが新たに投入したカレックス製フレームのマシンで走ったマルケス。ポテンシャルの片鱗は見せたが決勝は転倒リタイヤ

 実際、5戦を終えた時点でのコンストラクターズポイントでは、ドゥカティが174点でKTMが103点と続く。アプリリアは80点で3番手と、予想外の結果に終わっている。その理由は、今年は不安定な天候のレースが多く、コンディションの変化に素早く対応できていないから。つまり、依然として車体のセッティングがピンポイントだということだ。速いときはドゥカティでも手がつけられないが、いまいち安定感に欠けている。これからシーズンが進むにつれ、どこまで仕上げてくるかが注目される。

 対して、2年ぶりのタイトル奪還が期待されたヤマハのファビオ・クアルタラロは、開幕戦からフランスGPまで5戦連続トップ10フィニッシュを果たし、第3戦アメリカズGPでは3位になっているが、昨年後半からの苦戦は続いている。そのイチバンの理由は、予選グリッドが悪く、決勝では先行するドゥカティ、アプリリア、KTM勢を抜けずに苦戦するからだ。特に通常レースの半分の距離で行われる「スプリント」ではまったく歯が立たず、5戦で獲得したポイントはわずか「1点」。対して総合首位のバニャイアは、「スプリント」で「44点」を獲得しており、その差は大きい。

ヤマハとホンダ、それぞれの不振の理由

 今年、ヤマハのエンジンは速くなったが、その分、これまで良かったハンドリングとのバランスが崩れているのかも知れない。それ以上に深刻なのが、新品タイヤでタイムを出せないこと。これが予選グリッドの悪さに大きく影響しており、レースタイヤでの連続ラップでは優勝戦線に加われる速さがあるだけに、その対策が急がれている。

 そして、ウインターテストの低迷を開幕後もひきずっているのがホンダ陣営だ。開幕戦ポルトガルGPでは今季体調万全の状態でシーズンを迎えたマルク・マルケスがPPを獲得し、世界中のレースファンの度肝を抜いた。車体の問題でエンジンのパフォーマンスを活かせず、加速も最高速も劣るホンダのマシンで、速いタイムを出しているライダーたちのスリップを使いまくりベストタイムをマークしたからだ。

【次ページ】 外注フレームのポテンシャルは?

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