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「マコトはいつも控室でドイツ語の本を読んでいた」長谷部誠の海外1年目を知る大先輩レジェンド、パブロ・ティアムが絶賛する“人間性” 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2023/05/11 11:01

「マコトはいつも控室でドイツ語の本を読んでいた」長谷部誠の海外1年目を知る大先輩レジェンド、パブロ・ティアムが絶賛する“人間性”<Number Web> photograph by Getty Images

日本代表からは離れるも、在籍するフランクフルトの支柱となっている39歳。長年の活躍につながるルーキー時代の姿勢をレジェンドは見ていた

 チームメイトがその存在をありがたがるほどの人間性。いろんなサッカーチーム、プレーヤーを見てきた筆者からしても、そういった存在は非常に稀だ。しかも当時のブンデスリーガというのは、まだ日本人選手がそこまで高く評価されていた時代ではない。むしろいぶかしげにこの移籍を「本当にチームにとって補強になるの?」と見ていたファンや関係者だっていたことだろう。そうしたものを取っ払い、チーム内で確かな立ち位置を勝ち取り、翌08-09シーズンにはクラブ史上初となるリーグ優勝メンバーとして多大な貢献を果たした。

ドイツでも注目される「整え方」

 長谷部の試合に向けた「整え方」はドイツでも評判だ。ことあるごとに日常生活の送り方、徹底されたコンディショニングケア、トレーニングへの取り組み方というものがドイツメディアで紹介され、チームメイトがどれほど影響を受けているかのコメントが添えられる。そして「これだけ丁寧に自分と向き合い、やれるだけのことをやっている選手なのだから、ケガも少なく、今でも素晴らしいプレーを披露することができるのだ」というふうにまとめられるし、クラブにとっては若手選手の生きた教材として本当に貴重な存在だろう。

 とはいえ、だ。38~39歳でまだ現役選手としてプレーをし、CLにも出場するほどのレベルをキープしているというのは尋常ではない。ティアムに「当時、長谷部がここまで長く現役で、しかも1部リーグでプレーし続けられると思っていましたか?」と尋ねてみたら、素早く首を横に振って、「いや、それはなかった」と答え、こう続ける。

彼は当時から変わらない

 ティアム「当時私は現役最後のシーズンで34歳だった。自分もブンデスリーガで300試合以上出場した選手だ。自分だけではなく、自分がみてきた選手のキャリア終盤を考えると、僕らが辞めることになる年齢よりも、さらに5年以上もプレーし続けるだなんて考えもしなかったよ。でも、彼は当時から変わらない。いつでも一生懸命で、プロフェッショナルな振る舞いをする。本当に人間として素晴らしい」

 そのプロフェッショナルさは向上心や負けん気の強さにも表れる。28節ボルシアMG戦(4月15日)のことだ。3バックのセンターでスタメン出場を果たした長谷部は、適切なポジショニングと鋭い読みでこの日も非常に安定感の高いプレーを見せていたし、フィジカル能力の高いフランス代表FWマルクス・テュラムと対峙する場面でも、ぶつかり合いで引けをとらずにクレバーな対応をしていた。タイミングよく体をぶつけて相手の自由を奪い、自分のコントロール下に収めてしまう。

【次ページ】 《39歳》という年齢で守られることなんて望んでいない

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