ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「いずれベイスターズでプレーすると思っていた」バウアー獲得の立役者が明かす“電撃加入までの舞台裏”「天丼や海鮮丼を箸で食べる姿に…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/03 20:00
5月3日、1軍戦初登板で見事勝利を挙げたバウアー。MLBのサイ・ヤング賞投手がNPBデビューを飾るまでには4年間にもわたるストーリーがあった
共通の知人を通じて知り合いました
バウアーは2019年12月、DeNAが運営するファーム施設『DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA』へ視察に訪れている。当時、チーム戦略部の部長だった壁谷氏の招きにより実現した訪問であり、両者の出会いはこの年の5月にさかのぼる。
「共通の知人を通じて知り合いました。最初はチャットやメールでのやり取りだったんですけど、野球に対するトレバーの目指す方向性と、球団の考え方が合致したので、すぐに意気投合しました」
当時DeNAは最新設備が整い科学的なアプローチでトレーニングができるDOCKの運営をはじめ、データを解析し能力向上に繋げるチーム戦略部R&D(Research & Development=研究開発)グループを立ち上げていた。MLBきっての“ベースボール・サイエンティスト”であるバウアーと話が合うのは当然の成り行きだった。
NPBと日本文化の“ビッグファン”だ
「トレバーが、定量的、科学的な分析を使い試行錯誤しながら成長してきたことを書籍や映像を見て知っていましたし、また彼もよく言いますが、2009年の日米大学野球のアメリカ代表として来日したときに日本の野球の熱量に触れリスペクトを持ち、またWBC(2009年)を見て日本の野球選手のプライドに感銘を受けた、と。彼はNPBと日本文化の“ビッグファン”だと自認しており、すぐに打ち解けることができました」
この年の11月末、壁谷氏は米シアトルにある『ドライブライン・ベースボール』で、初めてバウアーと対面を果たすと、翌月DOCKへと招き、親睦を深めていった。
「すでにメジャーのスター選手でしたが、とても気さくな人間でしたし、非常に興味深く熱心にDOCKを見学していたのを覚えています。食事に行っても天丼や海鮮丼を箸で食べるなど、そのあたりにも日本文化へのリスペクトを感じましたね」
その後も壁谷氏とバウアーの関係は、途切れることなくつづいていく。