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身長2メートル! 巨人・秋広優人(20歳)がプロ初本塁打で一皮むけた? 松井秀喜の背番号55を継承する”若き大砲”に期待がふくらむ理由
posted2023/05/03 11:04
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
打った瞬間の当たりだった。
4月29日の東京ドーム。広島戦で巨人の秋広優人内野手の放ったプロ1号である。
2点を追う7回。広島の2番手右腕・松本竜也投手の初球だった。おそらくバッテリーはタイミングを外してカウントを稼ごうと選択したカーブだろう。しかし、しっかりと軸足に重心を残して、そのカーブを捉えた。
打球は右中間スタンド中段に飛び込むメモリアルアーチとなった。
「嬉しすぎてあんまり記憶がないっす」
プロ入り3年目の20歳は、記念弾でベースを回る喜びを初々しく語った。
一皮むけた。
二松学舎大附属高校から2020年のドラフト5位で入団。1年目は二軍スタートの宮崎キャンプで結果を残し、一軍の沖縄キャンプメンバーに抜擢された。チームに新型コロナウイルスの感染が広がり、代替選手として4月4日に初めて一軍登録されたが、2日後に登録抹消となり、出場はわずか1試合1打席。そして22年の一軍昇格はなかった。
鮮烈な”再デビュー”から待望の初本塁打へ
ただ、1年半ぶりに1軍昇格を果たすと、この1年半のファーム生活で、しっかりと爪を研いできたことを証明する活躍を見せている。
一軍に上がってきたのは4月18日。
「できるだけ働きやすい環境でスタートを切らせようと思った」
原辰徳監督の配慮で昇格直後のDeNA戦の石田健大投手から浜口遥大投手、続く21日のヤクルト戦の高橋奎二投手とサウスポーの先発が続いた試合は、ベンチで一軍の投手をじっくり観察した。そして満を持して右腕・小川泰弘投手が先発する22日に「7番・左翼」で先発起用されると、いきなり結果を残した。
第1打席で右中間をライナーで破る適時二塁打を放って、鮮烈な“再デビュー”を飾る。翌23日の同カードでは2回2死二塁から右前適時打、4回にも左前安打を放つと6回無死二、三塁からは中犠飛としっかり仕事をこなして2打点をマーク。その後も好調を維持して、待望の初本塁打へと突き進んできたのである。
どこが、どう一皮むけたのか。