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「いずれベイスターズでプレーすると思っていた」バウアー獲得の立役者が明かす“電撃加入までの舞台裏”「天丼や海鮮丼を箸で食べる姿に…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/03 20:00
5月3日、1軍戦初登板で見事勝利を挙げたバウアー。MLBのサイ・ヤング賞投手がNPBデビューを飾るまでには4年間にもわたるストーリーがあった
「他にも国際グループのグループリーダーである秋田佳紀や国際スカウトのルイス・ロペスやグレッグ・ハンセルにも協力してもらったり、MD部やファンクラブの担当役員に、『こういうことをしたいのだけど可能か?』と提案をしたり、逆にしてもらったり、役員も含め球団総力戦の交渉だったので、僕としては社内で普段にはない議論もできて非常に面白いなと思いながらやっていました。また共同代理人であるジョンやレイチェルからも無理難題を言われることもなく、互いがwin-winになれるような建設的な話し合いができましたしね」
きっと実際はタフな交渉だったと思うが、壁谷氏はそう言うと、充足感を漂わせ微笑んだ。
アイム・ソー・エキサイティッド!
そして2月下旬、ついに契約合意に至った。3月14日の正式発表までしばらく時間が空き「契約合意から発表までが長かったですね」と壁谷氏は苦笑するが、ベイスターズ史において“過去一番の新戦力”といえるビッグインパクトだった。単年契約で契約金額は年俸・出来高込みで総額4億円。もっとも、それ以外に2021年から3年契約を結んでいるドジャースから約2200万ドルの年俸を受け取ることになっている。
交渉を終えた後、改めて壁谷氏はバウアーと連絡を取ると、次のようなメッセージをもらった。
「アイム・ソー・エキサイティッド! すごく楽しい1年になりそうだ!」
過去に例を見ないMLB現役トップランクピッチャーの加入。プレーはもちろん、果たしてチームにどんな相乗効果が見られるのか、興味は尽きない。
“ソード・セレブレーション”以外にも…
「世界トップレベルのパフォーマンスを生で見られる機会は本当に少ないと思うので、ぜひ多くの人に横浜スタジアムに足を運んでもらいたいと思います。また、トレバーは普段は気さくですけど、マウンド上では別人で『俺はエモーショナルになる』と言うぐらいですから、その違いも楽しんでほしいですね。ファンを喜ばせることに非常に興味があって“ソード・セレブレーション”以外にも、こんなことをやってみようといろいろ話しているので、今後もぜひ注目してもらいたいですね」
壁谷氏が時間をかけて築き上げたリレーションシップが、バウアーをハマスタに召喚したと言ってもいいだろう。
「トレバーに一番フィットするNPBのチームは、ベイスターズだと私は思っています」
そう言うと壁谷氏は、自信をうかがわせ静かに頷いた。
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