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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「ユースの三笘薫と田中碧に“今すぐプロを倒すつもりでやれ”と言ったら」風間八宏が知る“W杯川崎勢の10代”「今は14歳が分岐点です」
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/04/16 11:01
板倉滉、三笘薫、田中碧。日本代表定着前、下部組織を含むフロンターレ時代の彼らについて、風間八宏氏はどう感じていたのだろうか
――以前のインタビューで「17歳でプロになる準備を完結させる」と言っていましたね。そのクラブ文化はできつつありますか?
「そうですね。17歳でプロになるための準備を完結させるために、次に14歳を新たな分岐点に定めました。
17歳でプロになろうと思ったら、15歳でユースに昇格しておくべきだからです。そのためには14歳のときに、ユースから直接プロになるのか、大学経由でプロになるのかを見極める必要があります。
10代のうちにブラジルやヨーロッパへ留学する枠組みもつくろうとしています」
プレーの時間=速さという視点に立つと、Jは少しずつ…
――Jリーグでは金太郎飴のように似た選手が増え、昔に比べて個性が強い選手が減っているように思います。日本サッカーの育成に問題があるのでしょうか?
「本当にうまい選手がいたら目に入ってくるので、そういう選手が単純に減っているんでしょう。
もう1つの理由は、一定水準のうまさを持つ選手がいても、自分の『時間』をチームの平均に合わさなければならず、隠れてしまっている可能性があります」
――どういうことでしょうか?
「今のサッカーは時間がすべて。いかに正確にプレーし、いかに時間をつくるかの勝負です。
それなのに技術の正確性についてチーム内で目がそろっていないと、一番速い選手に合わせるのは無理で、チームの平均に合わさなければなりません。通知表で5の人が、3に合わせるようなものです。
そうなると本当はもっと速くプレーできる選手がいても見つけづらいですよね。
あくまで個人的な意見ですが、今のJリーグの試合はゆっくりに見える。プレーの時間=速さという視点に立つと、Jリーグは少しずつ下降線を辿っているように思います。セレッソから『速い選手』を出して、この傾向を変えていきたいです」
日本が伸びていると同時に上の国が落ちてきている一方で
――カタールW杯で日本はドイツとスペインに勝利しましたが、日本サッカーのレベルは上がっていると言えないのでしょうか?
「クラブの大会に比べると、W杯は必ずしも世界トップの大会とは言えなくなってきました。日本代表が伸びていると同時に上の国が落ちてきているので、差が縮まっています。
一方、ヨーロッパのトップクラブを見るとすごく伸びていますよね。一部のトップクラブに突出した選手が集中して、世界選抜みたいなチームが増えています。
ヨーロッパのトップクラブとJリーグの差が開いてしまっている。それが『風間塾セレッソ大阪指導者養成所』を始めた理由のひとつでもあります。大阪から誰もがワクワクするような選手を生み出したいです」
<#1「指導者養成改革」編からつづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。