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「テニス→卓球ラケットに…」大谷翔平のスイングが進化した理由 今年のエンゼルスは違う? 開幕7試合で見えてきた脱「なおエ」の光明とは
text by
小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2023/04/09 06:00
大谷&トラウトの「トラウタニ」コンビが躍動する今季のエンゼルス
ボールを捉えるまでの間が少しコンパクトになったことで、ボールを捉える確実性も上がる。メジャーでは今シーズンから守備シフトが規制されていることもあって大谷のヒットゾーンは確実に広がっているので、ホームラン数だけではなく、打率も昨季(.273)より上がるのではないかと見ています。
「投手・大谷」について開幕前に懸念していたのは、投球時間制限「ピッチクロック」に関する影響でした。大谷は捕手からサインを受けるのではなく、自分からサインを出すために左腕上部にサイン伝達機器「ピッチコム」を装着しています。この方法をとっているのは現段階でエンゼルスの投手陣の中では大谷だけで、メジャーリーグの中でも稀です。
大谷による大谷の「リード」に注目
この機器を装着する違和感や、動作が増えるストレスはないのかなと老婆心ながら心配していたのですが、先発した2試合を見る限りは問題がなさそうですね。日本時間6日のマリナーズ戦では、立ち上がりに大谷の代名詞でもあるスライダーの調子が悪く先制を許したのですが、自らストレート中心の配球に切り替えて後続を断っていました。今シーズンは投手・大谷が自らする「リード」にも注目です。
WBCをきっかけにメジャーリーグをじっくりと見るようになったファンの中には、投打二刀流の大谷がいて、アメリカ代表の主砲であるマイク・トラウトが揃っているチームがなぜそれほど低迷していたのか、と不思議に思う方も多いでしょう。昨シーズンまでのエンゼルスはまず、シーズンを通して戦力が揃うことがなかった。怪我による離脱が相次ぎ、的確な補強もできなかったためにチーム力を発揮できませんでした。加えて大谷以外の投手陣が脆弱で、先行している展開でも終盤にリリーフが逆転を許すという展開も目立ちました。