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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「三笘薫は要注意だった」「急成長との評価が」W杯スペイン視点で見た“番狂わせの真相”「彼らの予想外は…」旧知の日本人指導者が明かす
posted2023/03/25 11:05
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
ヨーロッパに、知られざる「指導者界の海外組」がいる。スペインサッカー協会でUEFA Proライセンスを取得した白石尚久(47歳)だ。
「解任を経験してからが本当のスタートだ」
白石は大手広告代理店を「脱サラ」してスペインに渡った異色の指導者で、FCバルセロナのスクールコーチやスペイン4部、3部のコーチなどを歴任。2017年3月からロシアW杯まで本田圭佑の個人分析官を務めてACミランとパチューカで経験を積み、オランダ1部エクセルシオールのコーチなどを経て、2022年夏にベルギー2部・KMSKダインゼの監督に抜擢された。
開幕から1勝2分3敗とスタートでつまずき、地元メディアの反発もあってリーグ6試合で解任となってしまったが、その経験は白石にとって財産になっただろう。
実際、白石はスペインの指導者仲間からこう声をかけられたという。
「ようこそプロ監督の世界へ。解任を経験してからが本当のスタートだ」
そしてヨーロッパで挑戦を続ける日本人指導者の存在は、日本サッカー界にとっても大きな財産だろう。メディアでは報じられない情報が、彼らを通して日本に入ってくる。
たとえば、白石は2022年カタールW杯でスペイン代表を率いたルイス・エンリケ元監督とそのスタッフたちとは旧知の仲だ。
きっかけは白石がバルセロナ近郊のガバという街のクラブでコーチをしていたとき、選手の中にアイトール・ウンスーエがいたことだった。
アイトールの父は、ルイス・エンリケの右腕のフアン・カルロス・ウンスーエ。2015年のバルサのCL優勝をヘッドコーチとして支えた名参謀である。白石はアイトールから父を紹介され、そのつながりでルイス・エンリケとも懇意になった。
残念ながらフアン・カルロス・ウンスーエは難病ALSを患って指導者業から引退したが、息子アイトールは主任分析官として「チーム・エンリケ」に入閣。カタールW杯でも同職を担った。
要注意人物は三笘、不思議がったのは大迫の落選
白石はアイトールと仲が良く、毎年のようにウンスーエ家に遊びに行っている。W杯前にも訪れると、アイトールは日本代表についての分析を見せてくれたという。
「ピッチに選手の顔写真が並んでいて、クリックするとどの方向に動く傾向があるかといったビデオが出てくるようになっていました。彼らが要注意人物に挙げていたのは三笘薫。柴崎岳より守田英正の方が厄介だとも分析していましたね。久保建英については『いい選手』と一定の評価をしながらも、特別警戒する必要はないという感じでした。
彼らが不思議がっていたのは大迫勇也が選ばれていなかったこと。『大迫がいると厄介なのに、なぜいないんだ?』と首を捻っていました。