甲子園の風BACK NUMBER
21世紀枠漏れで“初の甲子園”逃した兵庫の進学校「マナーのいい学校を選んだ…じゃあウチはそうじゃないの?」落選した高校の本音
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2023/03/20 17:00
21世紀枠の候補校に挙がりながらも、出場を逃した小野高校。文武両道、昨秋は県8強など好成績を評価されていた
「3校を選出した最後に、記者会見で“キビキビとした、マナーのいい学校を選びました”っていうコメントがあったんですけれど、じゃあウチはそうじゃなかったのかって。ウチの選手も、動きはキビキビしていますし、近年では一番しっかりした選手が多いチームだと思っています。“今回、選出された3校の後ろで喜んでいる人の姿を想像して選ばせてもらった”みたいなコメントもあったんですけれど、ウチは創部100年を迎えて、選考日前から応援してくださる方もたくさんいました。そこまでは見てもらえなかったのかな……と」
実は北垣監督はもともと「21世紀枠」についてやや懐疑的な意見を抱いていた。それは選考の基準が曖昧であること。明確な理由なき落選に複雑な思いがあったのだろう。
「(小野が選ばれたら)近畿では8校目、兵庫県では3校目となる。正直なところ、“無理でしょう”という声もあったんですよ。ですので、近畿から8校は多かった……と言われた方が納得はいったかもしれないですね」
大阪桐蔭の“神宮枠”…不運な巡り合わせ
今大会は5年に一度の“記念大会”に当たる回のため、東北、関東・東京、東海、中国・四国が各1枠増枠され、例年よりも4校多い36校が出場する。小野が属する近畿地区の増枠はなかったが、大阪桐蔭が昨秋の明治神宮大会で優勝したことで「神宮枠」が近畿にもたらされ、出場校が「6」から「7」に増えていた。さらに、近畿地区の7校目として選出されたのが同じ兵庫県の社高校だった。
過去に、21世紀枠を含め同県から3校出場した例はあったものの、確かに「近畿から8校」は全国の基準で見るとバランスは良くはない。小野にとって不運な巡り合わせだったのかもしれない。
センバツは夏の甲子園とは違い、あくまで招待される大会である。選考委員がそれぞれの学校の特質、実力などを見て選出するが、そういった全国基準のバランスも重要だ。実際、小野は21世紀枠に選出された石橋と決選投票が行われ、僅差で出場を逃している。
選出された3校を含む各地区の候補9校はいずれもそれぞれのカラーを持ち、何が不足していたわけではない。“勝敗”ではなく、“選考”で明暗をつけられるセンバツは高校生にとってはある意味、残酷だ。