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21世紀枠漏れで“初の甲子園”逃した兵庫の進学校「マナーのいい学校を選んだ…じゃあウチはそうじゃないの?」落選した高校の本音

posted2023/03/20 17:00

 
21世紀枠漏れで“初の甲子園”逃した兵庫の進学校「マナーのいい学校を選んだ…じゃあウチはそうじゃないの?」落選した高校の本音<Number Web> photograph by Fumi Sawai

21世紀枠の候補校に挙がりながらも、出場を逃した小野高校。文武両道、昨秋は県8強など好成績を評価されていた

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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 第95回選抜高校野球大会の出場校が発表された1月27日、一般選考枠に先立って「21世紀枠」の出場校が発表された。

 候補の1つに挙げられていた兵庫県・小野高校野球部は、校内の体育館内で映し出されたモニターを全員で見届けていた。しかし、選ばれたのは石橋(栃木)、氷見(富山)、城東(徳島)の3校だった。

 過去に兵庫県から推薦された洲本(12年)、長田(16年)、東播磨(21年)はすべて選出されており、小野を有力視する声は確かに根強かった。涙を流して悔しがった同校・北垣賢高監督はその理由を明かす。

「どこの学校さんも素晴らしい要素はあると思いますが、小野を選んで来てくれた、素直に頑張ってきた子たちがこういう形で落とされてしまったのが、ね…」

 選ばれたら、同校としては春夏通じて初の甲子園。指揮官の思いは痛いほどわかる。しかし、北垣監督が落胆する一方で、選手たちは約15分間の取材対応を終えると即座に練習着に着替え、涙ひとつ見せることなく足早にグラウンドに散らばっていった。

「大人の私は涙していたのに、子どもたちは泣くこともせずにすぐに切り替えられている。彼らは僕と違って賢いので、こういうところで感情を表に出さない。自分で自分の気持ちをコントロールできるところは素晴らしかったと思います」(北垣監督)

文武両道の進学校、秋は兵庫8強

 小野の21世紀枠の候補に挙げられた理由はこうだ。

「学業と野球部活動を両立させ、数年間にわたり試合成績が極めて良好ながら、強豪校に惜敗するなど、あと一歩で甲子園出場の機会に恵まれない。指導者、部員が一体となって練習などで創意工夫を凝らし、成果を挙げている」

 昨秋の県大会では甲子園出場経験のある神港学園を破り、8強に進出。準々決勝では今回一般枠で選考されている社に2-3と競り合った。2018年は、夏の第100回大会で西兵庫代表となった明石商に敗れたが、県ベスト4まで勝ち進むなど甲子園に迫っている。公立高校が優勢な兵庫県をけん引する象徴として、その活躍ぶりが評価されてきた。

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