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「ロウキ・ササキはMLBでもトップランク」ピッチング・ニンジャが解説する“佐々木朗希21歳のズルさ”「打者にとっては不公平でしょ(笑)」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byTakeshi Yamauchi
posted2023/03/11 11:04
WBC第3戦のチェコ戦で先発が予想される佐々木朗希
佐々木朗希の“ズルさ”「打者が打てないのも当然です」
佐々木の最速164kmの直球は、米国表示では約102マイルとなる。エンゼルスの大谷翔平が'18年5月30日のタイガース戦で記録したメジャー自己最速の101.1マイル(約162.7km)をも凌ぐ。フリードマンさんは、パワーを生み出す独特のメカニックに感嘆していた。
「私は彼の下半身の使い方が大好きです。始動からトップに持っていくまでの過程で、左脚、そして腰の内旋とコッキング(閉栓)が非常にユニークです。このようなパワーの貯め方、下半身の使い方ができる投手はなかなかいません。そして、彼の体が細身であることも忘れてはいけません。あの細い体で、あれだけのパワーを生み出せる理由、それは左脚と腰の内旋とコッキングの連動の巧みさにあると見ています。彼の最大の特徴ではないでしょうか」
佐々木には鋭いスプリットもある。この2つの球種は、誰もが指摘する最強のコンビネーション。なぜ最強となるのか。フリードマンさんは、そこを分析してくれた。
「世界で最も速いと言える直球を持ち、あのスプリットです。打者にとっては不公平でしょう(笑)。ササキの直球のスピンレートは2600を超えていると聞きましたが、彼の直球は垂直方向に進む力が保たれています。つまり、直球が垂れないのです。彼の直球とスプリットをオーバーレイ(映像を重ね合わせる)するとよくわかりますが、この2つの球種は、途中まで同じ軌道を進みながら、打者の近くで突然に別の軌道を描きだします。直球は縦回転を維持しホップするような感じ。スプリットは突然にダウンするのです。スピードは直球が100マイル(約161km)、スプリットが91マイル(約146km)。打者が打てないのも当然です」