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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「大谷翔平のスタンド上段連発」は数字以上の衝撃! あとは絶対的戦力の山本由伸、松井裕樹、山田哲人が万全になれば〈WBC強化試合成績〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/09 06:01
大谷翔平の合流によってWBC開幕前から盛り上がりを見せる侍ジャパン。強化試合の各選手成績を振り返ってみると……?
内野手:村上、山川に一発。好調な源田らも注目
〈内野手〉
村上宗隆 6試21打3安1本3点0盗3球4振 率.143
岡本和真 6試20打7安1本6点0盗3球1振 率.350
牧秀悟 5試17打4安0本1点0盗3球3振 率.235
山川穂高 6試16打2安1本2点0盗2球5振 率.125
山田哲人 5試14打0安0本0点0盗2球7振 率.000
源田壮亮 5試13打4安0本1点0盗1球1振 率.308
中野拓夢 6試8打3安0本1点0盗3球1振 率.375
栗山監督は、この6試合で選手に「不振」の色がつくのを何としても避けたいとの思いがあったようだ。その気持ちに応えて3月7日オリックスとの最終戦で、村上宗隆と山川穂高が本塁打を打った。山川は大谷翔平の豪打に気圧されたとコメントしていたが、この日は大谷に代わってDHで打席に立って活躍した。本番でも「2番手のDH」になるだろうか。その一方、長年国際大会で活躍し続けてきた山田哲人だけ無安打なのは、気がかりではある。
そのほかにも源田壮亮のバットが振れていて、8番で怖い存在になるだろう。村上、岡本、牧、中野と四球を3つ選んでいるのも注目したい。今回の侍打線はおしなべて「選球眼」が良い。特に1次ラウンドの投手は、韓国を除き制球が大ざっぱだ。じっくりと投球を見ることで先制のチャンスが広がってくるだろう。
外野手:凄まじい選球眼の近藤、ヌートバーもシャープ
〈外野手〉
近藤健介 6試14打9安0本2点0盗5球1振 率.643
周東佑京 6試14打3安0本1点1盗1球2振 率.214
ヌートバー 2試8打3安0本1点0盗0球2振 率.375
吉田正尚 2試7打4安0本5点0盗0球2振 率.571
牧原大成 2試3打0安0本0点0盗0球2振 率.000
辞退した鈴木誠也の代わりに緊急招集された牧原大成を除く、4人が安打を打っている。
近藤はとにかく「選球眼」が凄い。なかなかアウトにならないしぶとさは、球数制限がある中で相手チームにとって脅威だろう。ヌートバーは大阪の2試合でリードオフマンをつとめたが、シャープな振りで安打を打った。足も速く、いわゆる「外国人打者」とは異なるイメージだ。華もあり、チームを盛り上げる雰囲気も持っている。
吉田は強化試合1試合目でいきなり2打席連続三振を喫してやや心配させたが、そこから急激に回復した。ついこの間までNPBでプレーしていたのだから当然ではある。中軸の打撃が期待できる。さらに意外性がある、と評しては失礼になるかもしれないが――周東の打撃も捨てがたい。試合途中から出場しても、打線に穴をあけることはなさそうだ。走塁でも期待できる。
DH:京セラドームで見た大谷翔平、驚愕の打球
そしてここに、この男が加わるのだ。
〈指名打者〉
大谷翔平2試4打3安2本6点0盗1球1振 率.750
京セラドームで大谷翔平を見るのは6年ぶりだったが、こんなにすごい打者になったとは――。
京セラドームができたときから観戦している筆者だが、打撃練習で上段に打球を打ちまくる打者はこれまで見たことがない。アレックス・カブレラやタフィ・ローズもそこまでではなかった。ここまで突出した選手が打線に加わるのは、侍の歴史でも初めてだ。
今回のWBCは、準々決勝からはかつてない厳しい道のりとなるだろうが、二度とこの顔ぶれは実現しないのではないか。ぜひ、出来るだけ長くこのチームを見ていたいと思う。
<「1次ラウンド対戦国を知る」編につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。