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佐々木朗希は満面の笑みでファンのもとへ走った…21歳“令和の怪物”に感じる変化「不安な気持ち」「(スライダーは)まだプーだけど…」
text by
鎌田直秀(日刊スポーツ)Naohide Kamada
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/02/28 11:03
大船渡高校時代を知る筆者がプロ4年目の佐々木朗希に見た「変化」とは…?
同級生らは「朗希はみんなを笑わせたり、誕生日にサプライズをしたり、盛り上げ役です」と当時から証言していた。プロになっても、1年間は体の育成期間として表舞台に立つことは少なく、なかなか本当の佐々木朗を“公開”する場も限られていた。昨季は本領発揮し、完全試合という偉業も成し遂げた。佐々木朗の心にも、常に注目を浴びることへの余裕も生まれつつあるように感じている。石垣島での報道陣の取材でも、プロに入ってからの変化を問われ、こう言い切った。
「技術的にも体力的にも、体のタフさも、メンタルもそうですけど。すべてにおいて、レベルアップしているかなと思います」
不安な気持ちの方が大きいかなと思います
3年前から変わっていないのは、質問に対してしっかりと頭で考え、相手の目を見て、言葉を選びながら慎重に話をする姿だ。
「不安な気持ちの方が大きいかなと思います。日の丸を背負う重さだったり、相手打者のレベルが高いこともそうですし、あとは負けられないというところで。自分のやってきた実績だったりがあんまりないので」
WBCへの不安な気持ちを正直に言葉にすることも、心の変化と感じている。
技術的な変化:右打者へのスライダー
技術的な変化は、スライダーだ。2022年シーズンは全体の約5~6%しか投じなかった球種。これまでは最速164kmの直球と、フォークが中心だったが、WBC使用球への対応も含めて考えた中で「右打者へのスライダー」を、有効な球種と位置付けた変化があった。握りも変えた。
「基本的には(ロッテ監督兼侍ジャパン投手コーチの)吉井さんといろいろ話して(変えました)。アメリカで学んできたと話していて、それを別にこうしろというわけではないんですけど、こうするとこういうふうになるとかそういうふうに教えてもらいました」
吉井理人監督も「朗希に『こうしたほうがいい』とは言っていない。(米国で)いろいろな人のスライダーを聞いてきたので『こんな投げ方をしているよ』ということを話した」と明かしている。