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佐々木朗希は満面の笑みでファンのもとへ走った…21歳“令和の怪物”に感じる変化「不安な気持ち」「(スライダーは)まだプーだけど…」 

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鎌田直秀(日刊スポーツ)

鎌田直秀(日刊スポーツ)Naohide Kamada

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/02/28 11:03

佐々木朗希は満面の笑みでファンのもとへ走った…21歳“令和の怪物”に感じる変化「不安な気持ち」「(スライダーは)まだプーだけど…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

大船渡高校時代を知る筆者がプロ4年目の佐々木朗希に見た「変化」とは…?

日本の宝なら、注目される対応力も必要では?との声も

 今から約4年半前の2018年秋。岩手・大船渡高2年だった佐々木朗は、花巻東高出身のブルージェイズ菊池雄星、エンゼルス大谷翔平に続く「岩手の新怪物」として、大きく報道され始めていた。同夏に秋田・金足農高の吉田輝星投手(現日本ハム)が甲子園決勝まで進んだ「カナノウ旋風」直後だったことも重なり、岩手大会で157kmをマークしたことは「東北に再び怪物が――」と全国的なニュースとなった。

 岩手県高野連はトラブルを回避するために、試合直後の取材場所を別に設けるなど対策を講じた。グラウンド以外では高校野球ファンとの距離を置いた。

 翌年4月の高校日本代表候補合宿で高校生史上最速163kmを記録した後には、球場出入りのルートも特別扱いされた。大船渡高も練習や練習試合といった公式戦以外の取材機会を限定するなどした。

 一方で県内外の高野連関係者からは「日本の宝なら、注目される対応力も必要では?」「温室育ちでは心が育たないのでは?」などの声が出ていたことも事実だった。

活躍したみんなが記事になったらうれしい

 佐々木朗自身にも急激にスター扱いを受けることに対する戸惑いもあっただろう。報道陣やファンからカメラを向けられると本人が視線をそらすこともあった。選手への直接取材が限定されたこともあり、岩手県営野球場の応援席にいる同級生に聞くこともあった。佐々木朗のこと、ともに戦うチームメートのこと。時にはメンバー全員のニックネームまで。

「朗希くんは注目されて特別視されていることを、どう思っているのかなあ?」と問うと、少し警戒感ある表情で「どう思っているかは分からないですけれど、『みんなと同じ高校生なのになあ』とは言っていましたね」。特に印象的だったのは「『自分だけのチームじゃなくて、みんなで勝つチームだから。活躍したみんなが記事になったらうれしい』みたいなことも言っていたことがあります」という話。ヒーローは自分じゃなくていい。そんな思いはあったようだ。

朗希はみんなを笑わせたり…盛り上げ役です

 怪物の表向きの印象は、内向的でもの静かというイメージを持っている人も多いのではないだろうか。しかし、それは佐々木朗の本来の姿ではない。

【次ページ】 不安な気持ちの方が大きいかなと思います

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