佐々木朗希は満面の笑みでファンのもとへ走った…21歳“令和の怪物”に感じる変化「不安な気持ち」「（スライダーは）まだプーだけど…」

　ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）に初めて臨む侍ジャパンのロッテ佐々木朗希。高校時代から、高校生最速163kmをマークし、「令和の怪物」と称された右腕は、「心」と「技術」、2つの大きな変化を遂げて世界一に挑む。

©Hideki Sugiyama

すべての写真を見る（73枚）

求められている以上は応えられる範囲で応えたい

　プロ4年目を迎えたロッテの沖縄・石垣島キャンプ。佐々木朗は連日、ファンの群集に囲まれていた。

「1年目のキャンプ以来そういう機会がなかったので、求められている以上は応えられる範囲で応えたいなと思っています。わざわざ石垣に来てもらっているので、できるだけ書きたいなと思っていました」

　練習の合間や練習を終えてチーム宿舎に帰るタイミングが、自発的な“サイン会”タイムとなった。多い時には30分間を超える時もあった。場所はエリア限定ながら、選手にとってもファンにとってもコロナ禍の感染防止対策が徐々に緩和され、少しずつ日常が戻りつつあることを感じることが出来る時間でもあった。ルーキーイヤーの3年前にファンサービスを行っていた心情とも明らかに違っていた。

野球を好きになってくれるきっかけになったらいいよね

　「朗希選手、サインくださ～い」

　そんな声に、切れ長の目を少しニコッとさせ、歩み寄る。ファンの前でしゃがみ込み、子供たちと目線を合わせるのも朗希スタイルだ。人数が少なかった日には、色紙やボールと黒のマジックを手に「お名前も書きましょうか？」と声をかけた場面もあり、感動と驚きで涙を流すファンの姿もあった。 

　タクシーに乗り込もうとした時に、園児くらいの男の子からの「朗希せんしゅ～」の声に、瞬時に反応したこともあった。帰路を急いでいた状況にもかかわらず、荷物を後部座席に置き、満面の笑みで約10m走ってその子にサインをしてから、再びタクシーに乗り込んだ。周囲のファンからも拍手が湧き起こった。ある若手選手は「朗希さんは『子供たちが野球を好きになってくれるきっかけになったらいいよね』と話していました。自分もそういう姿勢は見習いたいなと思っています」と背中を見ている。

【次ページ】　日本の宝なら、注目される対応力も必要では？との声も